乾式貯蔵

核燃料

使用済み核燃料: 乾式貯蔵の現状と課題

- 乾式貯蔵とは原子力発電所では、ウランなどの核燃料を使って熱を作り、発電を行っています。この時、核燃料は核分裂反応を起こし、エネルギーを放出します。エネルギーを放出し終えた核燃料は、使用済み核燃料と呼ばれます。使用済み核燃料には、放射線を出す物質が含まれており、強い放射能を持っています。そのため、安全に保管することが非常に重要です。使用済み核燃料の保管方法には、大きく分けて湿式貯蔵と乾式貯蔵の二つがあります。従来から行われている湿式貯蔵は、使用済み核燃料をプールの中で水に浸して冷却・保管する方法です。一方、乾式貯蔵は、文字通り水を使わずに、空気や不活性ガスなどの気体中で使用済み核燃料を冷却・保管する方法です。乾式貯蔵では、頑丈な金属製の容器やコンクリート製の貯蔵建屋を使用し、その中に使用済み核燃料を収納します。金属製の容器は、厚さ数十センチメートルにもなる鋼鉄などの複数の層でできており、放射線を遮蔽するだけでなく、高い耐震性と耐衝撃性を備えています。また、コンクリート製の貯蔵建屋も、鉄筋コンクリートの厚い壁と天井で覆われており、高い遮蔽性能と耐久性を有しています。乾式貯蔵は、湿式貯蔵に比べて冷却のための設備が簡素化できるため、貯蔵施設の建設費用が低く抑えられます。また、貯蔵施設のコンパクト化が可能となるため、敷地の有効活用にもつながります。さらに、貯蔵容器や貯蔵建屋は、長期間にわたって高い安全性を維持できるように設計されており、使用済み核燃料を長期にわたって安全に保管することができます。
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原子力発電の「中間貯蔵」とは?

原子力発電所では、ウラン燃料を使って発電を行う過程で、核分裂反応を終えた燃料が発生します。これは使用済燃料と呼ばれ、放射線を出し、まだ熱を発しています。 使用済燃料には、まだエネルギーを生み出す能力が残っているため、再処理をして有効活用することが可能です。再処理とは、使用済燃料から、まだ使えるウランやプルトニウムを取り出す技術のことです。取り出したウランやプルトニウムは、再び燃料として原子力発電で利用することができます。 しかし、再処理を行うにも時間や費用がかかります。また、最終的な処分場が決まっていない現状では、使用済燃料を安全に保管しておく場所が必要です。そこで、一時的な保管場所として重要な役割を担うのが「中間貯蔵」です。 中間貯蔵施設では、使用済燃料を冷却し、放射線を遮蔽するなど、安全を確保するための様々な対策が講じられています。具体的には、使用済燃料を特殊な金属製の容器に入れた後、さらにコンクリート製の貯蔵施設で保管します。 中間貯蔵は、再処理を行うまでの間、あるいは最終的な処分場へ搬出するまでの間、使用済燃料を安全かつ適切に保管することで、原子力発電の持続可能性を支えるために不可欠なものです。