二酸化プルトニウム

核燃料

原子力発電の未来を拓く:マイクロ波加熱脱硝法

原子力発電は、地球温暖化対策の切り札として期待されていますが、発電に伴い発生する使用済み燃料の処理は、解決すべき重要な課題として認識されています。使用済み燃料には、発電に利用されなかったウランやプルトニウムが依然として含まれており、これらの貴重な資源を回収し、再び燃料として利用する技術が使用済み燃料再処理です。 この再処理工程では、まず、使用済み燃料を溶解し、核分裂生成物からウランやプルトニウムを分離します。その後、分離されたウランやプルトニウムは、硝酸と反応させて硝酸溶液の形で回収されます。そして、この硝酸溶液から再び燃料として利用できる形に戻す工程が必要となります。 従来の方法では、高温の加熱炉を用いて硝酸溶液を処理していましたが、この方法には、処理に長時間を要する、設備が大規模になるなどの課題がありました。近年、マイクロ波のエネルギーを利用したマイクロ波加熱脱硝法が、従来の方法に代わる革新的な技術として注目されています。マイクロ波加熱脱硝法は、マイクロ波のエネルギーを利用することで、硝酸溶液を効率的に加熱し、短時間で処理することが可能となります。また、必要な設備もコンパクトになるため、処理効率の向上や設備の小型化に大きく貢献することが期待されています。
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原子力と環境:脱硝技術の役割

- 脱硝とは?大気汚染物質の一つである窒素酸化物(NOx)は、呼吸器に悪影響を及ぼしたり、酸性雨の原因となるなど、環境問題を引き起こす物質として知られています。この窒素酸化物を、燃焼ガスや排ガスから取り除く技術のことを「脱硝」と言います。火力発電所や工場など、燃料を燃焼させる施設では、高温環境下で空気中の窒素と酸素が反応し、どうしても窒素酸化物が発生してしまいます。そこで、大気汚染防止の観点から、窒素酸化物の排出量を削減するために脱硝装置が導入されています。脱硝の方法はいくつかありますが、代表的なものとして「選択触媒還元法」が挙げられます。これは、触媒を用いて窒素酸化物を無害な窒素と水に分解する方法です。具体的には、アンモニアなどの還元剤を排ガスに添加し、触媒層を通過させることで化学反応を起こし、窒素酸化物を浄化します。脱硝技術は、環境負荷を低減するための重要な技術として、今後も開発・改良が進められていくと考えられます。