
エネルギー源としての重水:二重温度交換法
- 同位体とエネルギー原子は物質の最小単位と考えられてきましたが、さらに小さな粒子によって構成されています。原子核を構成する陽子の数は原子番号と呼ばれ、その原子の化学的性質を決定づける重要な要素です。しかし、同じ原子番号を持つ原子でも、中性子の数が異なる場合があります。これを同位体と呼びます。例えば、水素を例に考えてみましょう。水素は原子番号1番の元素ですが、原子核には中性子を持たないもの、1つ持つもの、2つ持つものがあります。それぞれ軽水素、重水素、三重水素と呼ばれ、これらはすべて水素の同位体です。原子力エネルギーの平和利用において、特定の元素の同位体を濃縮する技術は非常に重要です。これは、同位体によって核反応に対する反応性が異なるためです。例えば、ウランにはウラン235とウラン238という同位体が存在しますが、原子力発電に利用できるのはウラン235です。ウラン235は中性子を吸収すると核分裂反応を起こし、莫大なエネルギーを放出します。一方、ウラン238は中性子を吸収しても核分裂反応を起こしにくいため、原子力発電には適していません。そのため、天然ウランからウラン235の濃度を高める作業が必要不可欠となります。この作業をウラン濃縮と呼びます。ウラン濃縮技術は原子力発電の鍵を握る重要な技術であり、平和利用のためには、その技術の安全な管理と国際的な協力が不可欠です。