交絡因子

放射線について

疫学調査と交絡因子の関係

- 交絡因子とは疫学調査では、ある特定の要因が病気などの発生に与える影響を調べることがあります。例えば、放射線被ばくががんの発生率に影響するかどうかを調べたいとします。このとき、放射線被ばくだけに注目して、被ばくしたグループとそうでないグループのがん発生率を比較すれば良いのでしょうか。実際には、放射線被ばく以外にも、がんの発生率に影響を与える要因は数多く存在します。例えば、食生活や喫煙習慣、運動習慣、年齢、遺伝などが考えられます。もし、放射線被ばくの有無と、これらの要因のいずれかに偏りがあった場合、結果の解釈が複雑になります。例えば、放射線被ばくが多いグループで喫煙率が高かった場合、がん発生率の上昇が放射線被ばくの影響なのか、喫煙の影響なのか、あるいはその両方なのか、判断が難しくなります。このように、調査対象となる要因(ここでは放射線被ばく)以外の要因で、結果に影響を与えるものを「交絡因子」と呼びます。交絡因子の影響を排除あるいは調整することは、疫学調査において非常に重要です。交絡因子を適切に処理しなければ、調査対象の要因と病気発生の関係について誤った結論を導き出す可能性があります。交絡因子への対策としては、調査対象集団の特性を揃えたり、統計的な手法を用いて交絡因子の影響を取り除いたりする方法などがあります。