伝熱管

原子力施設

原子力発電の心臓部!蒸気発生器の役割とは?

原子力発電所の中核を担う設備の一つに、蒸気発生器があります。火力発電所と同じように、原子力発電所でも電気を作るためには、タービンを回転させる必要があります。そのタービンを動かすために欠かせないのが、高圧の蒸気です。火力発電所では石炭や石油などを燃やして水を沸騰させ、蒸気を発生させていますが、原子力発電所では、原子炉で発生させた熱を利用して蒸気を発生させています。この重要な役割を担っているのが蒸気発生器です。 蒸気発生器の内部には多数の細長い管が束状に設置されており、その管の中を原子炉で熱せられた水が通ります。管の周囲は冷却水が循環しており、熱い管に触れることで冷却水は沸騰し、高圧の蒸気に変化します。発生した蒸気はタービンへと送られ、タービンを回転させることで発電機が動き、電気が作られます。 このように、蒸気発生器は原子炉で作られた熱エネルギーを、電気エネルギーに変換する過程で重要な役割を担っています。原子力発電所において、蒸気発生器はまさに「発電の要」といえるでしょう。
原子力の安全

原子力発電の減肉現象とは

- 減肉現象の概要原子力発電所の中心的な設備である原子炉。その原子炉で発生させた熱を利用して蒸気を作り出す重要な装置が蒸気発生器です。この蒸気発生器には、熱の受け渡しを行うために多数の伝熱管が設置されています。減肉現象とは、この伝熱管の肉厚が薄くなってしまう現象を指します。伝熱管は、高温高圧の水や蒸気が流れる厳しい環境下に置かれているため、経年劣化は避けられません。しかし、減肉現象は通常の経年劣化とは異なり、腐食や摩耗などによって想定以上の速度で肉厚が減少していく点が特徴です。減肉現象が進行すると、伝熱管の強度が低下し、最悪の場合には破損に至る可能性があります。もし伝熱管が破損すると、放射性物質を含む水が蒸気発生器外部に漏えいする可能性も出てきます。このような事態を避けるため、減肉現象は原子力発電所の安全性に影響を与える可能性があると考えられています。そのため、原子力発電所では、減肉現象の発生を抑制するための対策や、早期発見のための検査技術の開発など、様々な取り組みが行われています。
原子力施設

原子力発電の心臓部を守る!インコネル合金の活躍

原子力発電所の中枢である原子炉は、想像を絶する高温・高圧、そして放射線が飛び交う過酷な環境です。このような環境下では、通常の金属ではたちまち溶けてしまったり、もろくなってしまったりするため、特別な素材が必要となります。その役割を担うのが、「インコネル」と呼ばれる特殊な金属です。インコネルは、ニッケルを主成分として、クロムやモリブデン、ニオブといった金属を独自の配合で混ぜ合わせることで、並外れた強度と耐食性を実現しています。 高温に晒され続けても変形しにくいため、原子炉の構造材として最適です。また、強い放射線を浴び続けても劣化しにくいため、長期間にわたって安定した運転に貢献します。さらに、酸やアルカリなどの腐食性物質にも強く、原子炉内で発生する様々な化学反応にも耐えられます。インコネルは、まさに原子力発電所の過酷な環境において、その能力を遺憾なく発揮する、縁の下の力持ちと言えるでしょう。