体内被ばく

放射線について

知っておきたい内部被ばく:見えない脅威から体を守る

- 内部被ばくとは?私たちの身の回りには、ごく微量の放射性物質が存在し、呼吸や飲食を通して知らず知らずのうちに体内に取り込まれています。これを「内部被ばく」と呼びます。 放射性物質を含む空気を吸い込んだり、汚染された水や食べ物を口にすることで、体内へと放射性物質が入り込んでしまうのです。体内に入った放射性物質は、種類によって留まりやすい場所が異なります。例えば、ヨウ素は喉の下にある甲状腺に集まりやすく、ストロンチウムは骨に蓄積する性質を持っています。 セシウムの場合は、体の動きを司る筋肉に約8割、骨に数%、そして残りは肝臓などに蓄積します。内部被ばくは、外部被ばくのように体の外側から放射線を浴びる場合と異なり、放射線源が常に体内に存在するため、長期間にわたって被ばくし続ける可能性があります。 また、目に見えないだけに、どれだけの放射性物質を体内に取り込んだのかを把握することが難しく、その影響を理解し、適切な対策を講じることが非常に重要です。日頃からバランスの取れた食生活を心がけ、汚染が懸念される食品の摂取を控えるなど、内部被ばくのリスクを減らすための意識を持つことが大切です。
放射線について

医療と放射線:医療被ばくについて

医療の現場では、放射線は診断や治療など、様々な用途で利用されています。レントゲン撮影は、骨の状態を把握するために用いられる、私たちにとって最も身近な放射線利用の一つと言えるでしょう。レントゲン撮影では、X線と呼ばれる放射線が身体を透過する際に、骨などの組織によって吸収率が異なることを利用して画像化を行います。 近年では、X線を用いた検査として、コンピューター断層撮影、いわゆるCT検査も広く普及しています。CT検査では、身体の周囲を回転する装置からX線を照射し、得られたデータをコンピューターで処理することで、身体の断面画像を詳細に得ることができます。これにより、臓器や血管などの状態をより正確に把握することが可能となり、病気の早期発見や診断の精度向上に大きく貢献しています。 放射線は、診断だけでなく、がん治療などの治療においても重要な役割を担っています。放射線治療では、がん細胞に放射線を照射することで、細胞のDNAを損傷し、増殖を抑制したり、死滅させたりします。放射線治療は、手術、抗がん剤治療と並ぶ、がん治療の三大療法の一つとして確立されており、多くの患者に福音をもたらしています。このように、放射線は医療において欠かせない技術として、人々の健康と生命を守るために役立てられています。