
余剰プルトニウム:核軍縮が生み出す課題と国際協力
冷戦が終わりを告げると、世界は核兵器の数を減らす方向へと大きく動き出しました。特に、アメリカとソビエト連邦という二つの超大国が結んだ第二次戦略兵器削減条約(START-II)は、その象徴的な出来事と言えるでしょう。しかし、核兵器を解体していく過程で、新たな問題が生じました。それは、核兵器の材料となる「プルトニウム」が大量に余ってしまうという問題です。
兵器に転用可能なプルトニウムをどのように管理し、処分していくかは、国際社会にとって非常に重要な課題となりました。
プルトニウムは、ウラン燃料から取り出された後、適切に処理・管理されなければ、テロリストの手に渡り、核兵器に転用される危険性も孕んでいます。そのため、国際原子力機関(IAEA)は、余剰プルトニウムの厳格な管理と平和利用を国際社会に呼びかけています。
平和利用としては、プルトニウムを燃料として利用するプルサーマル発電や、高速増殖炉での利用などが挙げられます。
核兵器の削減は、人類にとって悲願であり、国際社会全体の努力によって達成されるべき目標です。それと同時に、余剰プルトニウムの管理という新たな課題にも、国際的な協力体制のもと、真剣に取り組んでいく必要があります。