原子力発電における信頼性重視保全(RCM)とは
- 信頼性重視保全(RCM)の定義信頼性重視保全(RCM)とは、原子力発電所を含む様々な産業プラントにおいて、従来の時間に基づいて行われていた保全活動を見直し、より効果的かつ効率的な保全活動を実現するための手法です。従来の保全活動では、一定期間経過したら部品交換を行うなど、時間に主眼を置いていました。しかし、RCMでは、プラントの安全性や信頼性をより高めるために、機器の故障や性能低下の可能性とその影響を分析し、最適な保全方法を決定します。具体的には、RCMでは以下の手順で保全計画を立案します。1. -システム分析- プラント全体のシステム構成や機器の機能、運転条件などを分析し、それぞれの機器がプラント全体に与える影響を明確化します。2. -故障モード影響解析(FMEA/FMECA)- 個々の機器に発生する可能性のある故障モードを洗い出し、その影響度と発生頻度を評価します。3. -保全活動の選定- 故障モード影響解析の結果に基づき、それぞれの故障モードに対して、予防保全、事後保全、状態監視保全など、最適な保全方法を選択します。4. -保全間隔の最適化- 選定した保全方法に対して、費用対効果や安全性を考慮しながら、最適な実施間隔を決定します。RCMを導入することで、無駄な保全作業を減らしつつ、重要な機器に対しては集中的に保全を行うことができるため、プラント全体の信頼性向上、安全性の向上、運転コストの低減などが期待できます。