原子炉を守る!保護系の役割とは?
原子力発電所は、莫大なエネルギーを生み出すと同時に、危険な物質も扱うため、安全確保が何よりも重要となります。そのため、様々な安全対策が講じられていますが、中でも「原子炉保護系」は、原子炉の安全を維持する上で、とりわけ重要な役割を担っています。
原子炉保護系は、原子炉内で異常な状態が発生した場合、自動的に作動し、原子炉を安全に停止させるシステムです。これは、人間の操作よりも速やかに、原子炉を安全な状態に移行させるために設計されています。
原子炉保護系は、原子炉内の温度や圧力、中性子束などの状態を常に監視しており、これらの値が予め設定された制限値を超えると、警報を発すると同時に、制御棒を原子炉に挿入し、核分裂反応を抑えます。制御棒は中性子を吸収する物質で作られており、原子炉に挿入されることで核分裂反応の連鎖を断ち切り、原子炉を停止状態に導きます。
原子炉保護系は、多重化と独立性という設計思想に基づいて構築されています。これは、万が一、一つの系統に異常が発生した場合でも、他の系統が正常に機能することで、原子炉の安全を確保することを目的としています。このように、原子炉保護系は、原子力発電所の安全を維持するための最後の砦として、重要な役割を担っているのです。