個人線量測定

放射線について

70μm線量当量:放射線業務従事者を護る重要な指標

- 70μm線量当量とは放射線を扱う仕事には、目に見えない危険が伴います。放射線は見えない、聞こえない、匂いもしないため、私たち自身の感覚では感知することができません。しかし、体で感じることはできなくても、放射線は体に影響を与える可能性があり、その影響を正しく評価することが重要です。そこで、70μm線量当量という指標が使われます。これは、放射線作業に従事する人の皮膚が受ける放射線の量を測るためのものです。70μmという数字は、皮膚の表面からわずか70マイクロメートル、これは髪の毛の太さほどの深さを表しています。なぜこの深さが重要なのでしょうか。それは、放射線の中でもエネルギーの低いものは、皮膚の表面付近で止まってしまい、体の奥深くまでは届かないからです。70μm線量当量を測定することで、皮膚が浴びた放射線の量をより正確に把握し、皮膚への影響を評価することができます。放射線による健康への影響を最小限に抑えるためには、このような目に見えない放射線を適切に測定し、管理することが不可欠なのです。
放射線について

放射線を見守る光:TLDの仕組み

- 熱ルミネセンス線量計(TLD)とは? 私たちの身の回りには、目には見えないけれど、微量の放射線が常に飛び交っています。太陽や宇宙から降り注ぐ自然放射線や、レントゲン検査などで利用される人工放射線など、様々な放射線が私たちの生活空間には存在しています。 これらの放射線は、大量に浴びると人体に悪影響を及ぼす可能性がありますが、微量であれば通常は問題ありません。しかし、医療現場や原子力施設、研究機関など、放射線を扱う職場では、作業者や周囲の環境を守るために、日頃から厳重に放射線量を管理する必要があります。そこで活躍するのが、熱ルミネセンス線量計(TLD)です。 TLDは、物質に照射された放射線の量を蓄積し、後から加熱することで、蓄積された線量に比例した光として放出する現象を利用して、放射線量を測定する装置です。 小型で軽量、かつ電源を必要としないため、個人が身につけて作業中の被ばく線量を測定する個人線量計として広く利用されています。また、環境放射線の測定など、様々な分野でも活用されています。