免疫

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マクロファージ:生体の守護者

私たちの体内を流れる血液は、様々な種類の細胞で構成されています。それぞれが重要な役割を担っていますが、その中でも体を守るという重要な役割を担うのが白血球です。外部から侵入してきた細菌やウイルスなどの異物から体を守る、いわば体の防衛部隊です。 この白血球は、大きく三つの種類に分けられます。顆粒球、リンパ球、そして単球です。顆粒球はさらに好中球、好酸球、好塩基球に分類され、それぞれが異なる働きで体を守っています。リンパ球は、免疫機能の中心を担い、体内に侵入した異物を記憶し、次に同じ異物が侵入してきた際に効果的に排除する働きがあります。そして、単球は、マクロファージという細胞に分化する能力を持つ細胞です。 マクロファージは、体内をパトロールし、細菌やウイルスなどの異物を見つけると、それらを自分の中に取り込んで消化します。この働きは貪食と呼ばれ、マクロファージは貪食細胞とも呼ばれます。さらにマクロファージは、食べた異物の情報をリンパ球に伝え、より効果的な免疫反応を引き出す役割も担っています。このようにマクロファージは、生まれながらに備わっている免疫である自然免疫において、中心的な役割を担う細胞と言えるでしょう。
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免疫の要、胸腺の役割とは?

- 胸腺の位置と大きさについて胸腺は、体の免疫システムにおいて重要な役割を果たす臓器です。 ちょうど胸の真ん中あたり、胸骨の裏側に位置し、心臓を包み込むようにその前面に位置しています。心臓を守るように覆いかぶさるように存在することから、「心臓の前にある腺」を意味する「胸腺」と名付けられました。胸腺の大きさは、個人差や年齢によって異なり、一概には言えません。 しかし、一般的には思春期に最大となり、その後は徐々に小さくなっていくとされています。 最大時で30~40グラム程度になり、これは、私たちがよく目にする果物で例えると、みかん1個か、小さなレモン1個分の大きさに相当します。 胸腺は、生まれたばかりの頃は小さく、思春期にかけて徐々に大きくなり、免疫機能の成熟とともに重要な役割を担います。 そして、思春期を過ぎると再び徐々に小さくなっていきます。これは、年齢を重ねるにつれて、免疫システムの働きが徐々に変化していくためだと考えられています。
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身体を守る免疫の番人:細網内皮組織

私たちの体には、まるで全身に張り巡らされた防衛ラインのように、体内をくまなくパトロールし、健康を維持するために働いている免疫システムが存在します。この重要な役割を担っているのが、「細網内皮組織」と呼ばれる細胞群です。 細網内皮組織は、リンパ管、脾臓、骨髄といったリンパ系器官に加え、副腎皮質など、体内の様々な場所に存在しています。まるでネットワークのように広がることで、体内への侵入者をいち早く感知し、排除する準備を整えているのです。 細網内皮組織を構成する細胞は、マクロファージや樹状細胞など、それぞれが独自の役割を担っています。例えば、マクロファージは、体内に侵入した細菌やウイルス、そして体内で発生した老廃物などを貪食して排除する役割を担っています。一方、樹状細胞は、抗原と呼ばれる、体内に入ってきた異物を認識して、他の免疫細胞に情報を伝える役割を担っています。このように、それぞれの細胞が連携して働くことで、私たちの体は、外敵から身を守り、健康を維持することができるのです。
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免疫の主役、顆粒細胞とその働き

- 顆粒細胞とは?私たちの身体は、目に見えない小さな侵入者から常に守られています。細菌やウイルスといった病原体は、常に私たちの身体に侵入しようと狙っています。こうした外敵から身を守るために活躍するのが、免疫システムです。免疫システムは、様々な種類の細胞が複雑に連携することで成り立っており、その中でも重要な役割を担う細胞の一つが「顆粒細胞」です。顆粒細胞は、その名の通り細胞内に「顆粒」と呼ばれる小さな袋状の構造を持っています。顕微鏡で観察すると、この顆粒が細胞内に散らばっている様子を確認することができます。顆粒の中には、酵素やタンパク質など、病原体を撃退するための様々な物質が蓄えられています。顆粒細胞は、血液中をパトロールし、身体に侵入してきた病原体を見つけると、顆粒内の物質を放出します。これらの物質は、病原体を直接攻撃したり、他の免疫細胞を活性化して、より効果的に病原体を排除するように促します。顆粒細胞は、生まれながらに備わっている免疫システムである「自然免疫」において中心的な役割を担っています。私たちが健康な生活を送るためには、顆粒細胞の働きは欠かせません。
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原子力災害と細菌感染

私たちが暮らす地球には、肉眼では見えないほど小さな生き物がたくさんいます。それらを微生物と呼びますが、その中でも特に数の多いものが細菌です。土や水はもちろん、空気中や深海、そして私たちの体内など、地球上のあらゆる場所に生息しています。私たちの体に存在する細菌の数は、体の細胞の数よりも多いとも言われており、その多様さに驚かされます。 細菌は、姿かたちは様々ですが、多くの場合、球状や棒状をしています。自分で動くことができ、栄養となるものを自ら取り込んで増殖していきます。その増殖速度は非常に速く、条件が整えば、わずか20分ほどで2倍に増える種類もいます。 多くの細菌は私たち人間にとって無害であり、むしろ、生活に役立つ働きをしています。例えば、私たちの腸内に住む細菌の中には、食べ物の消化吸収を助けてくれるものもいます。また、納豆やヨーグルトなどの発酵食品を作るのも細菌の働きによるものです。 一方で、食中毒を引き起こすサルモネラ菌のように、有害な細菌も存在します。これらの細菌は、食品を介して私たちの体内に入り込み、増殖することで、下痢や嘔吐などの症状を引き起こします。食中毒を予防するためには、食品の適切な保管や調理が重要です。
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放射線とリンパ球の関係

私たちの体には、まるで軍隊のように体内を守護する、免疫と呼ばれるシステムが備わっています。この免疫システムの中で、リンパ球は司令官のような、非常に重要な役割を担っています。体内に侵入してきた細菌やウイルスなどの敵を発見すると、攻撃指令を出し、撃退する、いわば免疫軍の司令塔です。 リンパ球は、血液中に存在する白血球の一種です。全体のわずか20〜25%程度ですが、体を守る上で欠かせない、非常に重要な細胞です。リンパ球は、骨髄にある造血幹細胞という細胞から作られます。リンパ節や脾臓といった器官で成熟し、血液の流れに乗って体中をくまなく巡回し、絶えず敵の侵入に備えています。 リンパ球は、大きく分けてTリンパ球とBリンパ球の二つに分類されます。Tリンパ球は、敵を直接攻撃する役割を担い、感染した細胞を見つけ出して破壊します。一方、Bリンパ球は、抗体と呼ばれる武器を産生し、敵を攻撃します。抗体は、特定の敵にのみ結合するミサイルのようなもので、敵を効率的に排除することができます。 このように、リンパ球は免疫システムにおいて、敵の発見から攻撃、排除まで重要な役割を担っています。私たちの体は、リンパ球の働きによって、病気から守られているのです。
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夢の治療薬?モノクローナル抗体の基礎知識

- モノクローナル抗体とは私たちの体には、細菌やウイルスなどの外敵が侵入してくると、それらを攻撃して排除する免疫システムが備わっています。この免疫システムにおいて重要な役割を担うのが抗体と呼ばれるタンパク質です。抗体は、体内に入ってきた外敵を異物として認識し、攻撃する働きを持ちます。 私たちの体の中では、様々な種類の抗体が作られており、それぞれが特定の外敵を狙って攻撃します。風邪を引いた時に作られる抗体と、インフルエンザウイルスに感染した時に作られる抗体は異なるということです。 この中で、モノクローナル抗体は、全く同じ構造と性質を持った抗体です。私たちの体内で作られる通常の抗体は、様々な種類の細胞から作られるため、少しずつ性質が異なります。しかし、モノクローナル抗体は、人工的に作られた単一の抗体産生細胞のみから作られるため、まるで工場で大量生産された製品のように、均一で高純度の抗体を得ることができます。これは、特定の外敵だけを的確に攻撃できる抗体として、医療分野で注目されています。