冷却凝集法

原子力の安全

冷却凝集法:空気中のトリチウムを捕まえる技術

- トリチウムとはトリチウムは、水素の仲間でありながら、放射線を出す性質を持つ物質です。原子核が陽子1つと中性子2つからできており、この不安定な構造が放射線の発生源となっています。自然界にも、宇宙線と大気中の物質との反応によってごくわずかに存在しています。原子力発電所では、原子炉の中でウランやプルトニウムが核分裂する際に、副産物としてトリチウムが発生します。 また、重水素を減速材として使用している原子炉では、重水素と中性子が反応することによっても生じます。このように人工的に作られるトリチウムの量は、自然界に存在する量よりもはるかに多くなります。トリチウムは化学的性質が水素とほぼ同じため、環境中では水分子と容易に結合して水蒸気(トリチウム水)として存在します。 このため、環境中へのトリチウムの影響を評価する際には、空気中の水蒸気中のトリチウム濃度を測定することが重要となります。 トリチウムは比較的弱いベータ線を出すため、体内への影響は他の放射性物質と比べて小さいと考えられていますが、長期間にわたる影響については、継続的な研究が必要です。