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RIT:体内からがんを攻撃する治療法

- RITとはRITは、放射性免疫療法(RadioImmunoTherapy)の略称です。これは、放射線を出す物質(放射性核種)を、特定のがん細胞を狙い撃ちするミサイルのような役割をする抗体にくっつけて体内に入れることで、がん細胞だけをピンポイントで攻撃する治療法です。抗体とは、私たちの体の中で作られるタンパク質の一種で、特定の異物と結合する性質を持っています。鍵と鍵穴の関係のように、決まった形の抗体と異物だけがぴったりとくっつくことができます。がん細胞の表面には、正常な細胞にはない、特定の種類のタンパク質(抗原)が多く存在することが知られています。RITでは、このがん細胞特有の抗原を認識して結合する抗体を利用します。あらかじめ、この抗体に放射線を出す物質(放射性核種)をくっつけて体内に入れると、抗体はがん細胞だけを探し出して結合します。そして、がん細胞にくっついた抗体から放射線が放出され、がん細胞のDNAに損傷を与えて死滅させることができます。RITは、正常な細胞への影響を抑えながら、がん細胞のみを効果的に攻撃できるという点で、従来の放射線治療よりも副作用が少ないと考えられています。また、手術が難しい場所にできたがんや、転移したがんにも効果が期待できる治療法として注目されています。
放射線について

放射性医薬品:診断と治療における役割

- 放射性医薬品とは放射性医薬品は、ごくわずかな放射線を出す性質を持つ医薬品で、病気の診断や治療に役立てられています。体内での動きを外部から捉えやすく、病気の部分を的確に映し出す「診断」と、狙った病巣に集中的に作用する「治療」、両方の側面から医療に貢献しています。-# 診断における役割診断に用いる場合、検査を受けたい方に注射などで放射性医薬品を投与します。すると、薬は特定の臓器や組織に集まり、そこから微量の放射線を放出します。この放射線を専用の装置で検出することで、臓器や組織の働きや状態を画像として映し出すことができます。例えば、脳の血流を調べたい場合は、脳に集まりやすい放射性医薬品を用います。心筋梗塞の診断には、心臓の筋肉に集まるものを使用します。このように、検査の内容に応じて適切な放射性医薬品が使い分けられています。-# 治療における役割治療に用いる場合も、特定の臓器や組織に集まりやすい性質を利用します。がん細胞などに集まりやすい放射性医薬品を投与することで、正常な細胞への影響を抑えつつ、がん細胞を放射線で選択的に攻撃することができます。放射性医薬品を用いた治療は、外科手術が難しい場合や、他の治療法と組み合わせて行われることもあります。近年、がん治療の選択肢の一つとして注目されています。-# まとめこのように、放射性医薬品は診断と治療の両面で重要な役割を担っています。その特性を生かして、病気の早期発見や治療効果の向上に貢献しています。