医療利用

放射線について

放射性同位元素と私たちの生活

- 放射性同位元素とは?原子は物質を構成する基本的な粒子ですが、その中心には原子核が存在し、さらにその原子核は陽子と中性子で構成されています。陽子の数は元素の種類を決定づけるもので、これを原子番号と呼びます。一方、中性子の数は同じ元素でも異なる場合があります。この、陽子の数が同じで中性子の数が異なる原子を同位体と呼びます。 多くの同位体は安定していますが、中には原子核が不安定で、余分なエネルギーを放出して安定になろうとするものがあります。この不安定な原子核を持つ同位体を放射性同位元素と呼びます。放射性同位元素が安定な状態になるために放出するエネルギーは放射線と呼ばれ、α線、β線、γ線といった種類があります。 放射性同位元素は自然界にも存在し、ウランやラジウムなどが知られています。また、人工的に原子炉や加速器を用いて作り出すことも可能です。放射性同位元素は、その性質を利用して医療分野では診断や治療に、工業分野では非破壊検査や材料開発などに活用されています。
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コバルト60:放射線の力で社会に貢献

コバルト60とは、私たちの身の回りにあるコバルトという金属元素から人工的に作り出される物質です。 コバルトは鉄と同じ仲間で、原子番号27、原子量58.93と表されます。このコバルトに、目には見えない中性子という粒子をぶつけることで、コバルト60は生まれます。 コバルト60は、放射線を出す性質を持っています。放射線には様々な種類がありますが、コバルト60から出る放射線はガンマ線と呼ばれています。 ガンマ線は非常に強いエネルギーを持っており、物質を透過する力も強いです。この性質を利用して、医療の現場ではガンマ線を使った治療が行われています。 例えば、ガンマ線を患部に照射することで、がん細胞を死滅させる治療法などがあります。 また、工業分野でもコバルト60は活躍しています。製品の内部を検査する際などに、ガンマ線が利用されています。製品にガンマ線を照射し、その透過の様子を調べることで、内部の欠陥などを発見することができるのです。このように、コバルト60は医療や工業など、様々な分野で私たちの生活に役立っています。