地球環境を左右する? 深海からのメッセージ:周極深層水
広大な海は、太陽光が届き、様々な生物が暮らす表層と、光が届かない暗黒の世界である深海に分けられます。一般的に水深200メートルより深い場所を指す深海は、地球の表面積の約7割を占める広大な領域です。
深海には、表層とは全く異なる環境が広がっており、そこに存在する海水は「深層水」と呼ばれています。深層水は、表層水よりも冷たく、塩分濃度が高く、豊富な栄養分を含んでいるという特徴があります。
この深層水は、地球規模の海洋大循環によって、長い年月をかけてゆっくりと移動しています。表層水とは異なり、深層水は太陽光による熱の影響を受けにくいため、水温はほぼ一定で、2~4℃と非常に冷たい状態です。また、深層水は、生物の死骸などが分解される過程で生じる栄養塩が豊富に含まれており、 地球全体の環境や生態系に大きな影響を与えていると考えられています。
近年、この深層水に注目が集まっています。豊富な栄養塩を利用した水産養殖や、冷たい海水を利用したエネルギー開発など、深層水は様々な可能性を秘めた資源として期待されています。しかし、深層水は地球環境において重要な役割を担っているため、その利用には慎重な検討が必要です。