
解体プルトニウム:核軍縮と原子力利用の交差点
冷戦が終結すると、世界は核兵器の削減へと大きく動き出しました。米ソ間で締結された第二次戦略兵器削減条約(START-II)は、その象徴的な出来事と言えるでしょう。この条約によって、両国は保有する核兵器の削減を約束しました。
核兵器の解体が進むにつれて、これまで兵器に使われていた大量のプルトニウムが現れました。これは「解体プルトニウム」と呼ばれています。解体プルトニウムは、核兵器に転用できる高い純度のプルトニウム239を豊富に含んでいるため、国際社会全体で適切に管理し、処分することが課題となっています。
プルトニウム239は、ウラン238に中性子を照射することで生成される、人工の放射性元素です。核兵器の爆発を引き起こすために必要な臨界量に達しやすく、核兵器の原料として利用されてきました。解体プルトニウムには、このプルトニウム239が豊富に含まれているため、テロリストの手に渡り、核兵器に転用される危険性が懸念されています。
そのため、国際社会は、解体プルトニウムの厳重な管理体制の構築や、プルトニウムを原子力発電の燃料として使用するなど、平和利用を進めるための技術開発に取り組んでいます。国際原子力機関(IAEA)は、プルトニウムの適切な管理と利用に関する国際的なガイドラインを策定し、各国にその遵守を呼びかけています。