原子力発電環境整備機構

原子力の安全

「特定放射性廃棄物の最終処分」に関する法律

原子力発電所は、運転によって電力を供給する一方で、使用済み燃料や廃棄物を生み出します。これらの廃棄物の中には、放射能レベルが非常に高いものが含まれており、これらは「特定放射性廃棄物」と呼ばれます。特定放射性廃棄物は、人の健康や環境への影響を考慮し、安全かつ計画的に処分することが極めて重要です。 この課題に長期的な視点で取り組むため、2000年5月に「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」が制定されました。この法律は、特定放射性廃棄物の処分を国民全体の責任として明確化し、国が主導的な役割を担い、安全性を最優先に処分を進めることを定めています。また、処分の実施主体として原子力発電事業者を指定し、その計画的な実施を義務付けています。 この法律の制定により、特定放射性廃棄物の処分に関する基本的な枠組みが整備されました。しかし、具体的な処分方法や処分地の選定など、解決すべき課題は依然として残されています。国民全体の理解と協力の下、安全で着実な処分に向けた取り組みが求められています。
その他

原子力発電と拠出金:未来への責任

原子力発電は、地球温暖化対策の切り札として注目されています。二酸化炭素をほとんど排出せずに、莫大なエネルギーを生み出すことができるからです。しかし、その一方で、原子力発電には解決すべき課題も残されています。それは、放射性廃棄物の処理の問題です。 原子力発電所からは、運転に伴って様々なレベルの放射性廃棄物が発生します。その中には、放射能レベルが低く、比較的短期間で崩壊する廃棄物もあれば、極めて高い放射能レベルを有し、数万年もの間、厳重に管理しなければならない廃棄物も存在します。 放射能レベルの高い廃棄物は、人が近づいたり、環境中に漏洩したりすると、深刻な影響を及ぼす可能性があります。そのため、これらの廃棄物は、安定した地層深くに埋め込む地層処分を行うことが検討されています。地層処分は、廃棄物をガラス固化体や金属容器に封入し、さらにベントナイトと呼ばれる粘土で覆ってから、地下深部の安定した岩盤層に埋め込むという方法です。 地層処分は、放射性廃棄物を将来の世代に負担を負わせることなく、安全かつ確実に隔離する有効な手段と考えられています。しかしながら、地層処分の実現には、候補地の選定や処分施設の建設など、多くの時間と費用を要することも事実です。 原子力発電の利用を進めていくためには、放射性廃棄物の処理問題に対して、安全性を最優先に考えながら、国民の理解と協力を得ながら、着実に取り組んでいく必要があります。