
ヘリウム3中性子計数管:原子炉の目
原子炉の安全な運転には、ウランの核分裂で発生する莫大な量の中性子の数を正確に把握することが欠かせません。この重要な役割を担うのが、中性子検出器の一つであるヘリウム3中性子計数管です。
ヘリウム3中性子計数管は、金属製の筒の中にヘリウム3ガスを封入した構造をしています。筒の中心には芯線が通っており、芯線と筒の壁の間には高い電圧がかけられています。原子炉から放出された中性子がこの計数管に飛び込むと、ヘリウム3と反応を起こします。
ヘリウム3は中性子を吸収しやすく、吸収すると陽子とトリチウムという原子核に分裂します。これは核反応の一種であり、この時にエネルギーが発生します。発生したエネルギーはヘリウムガスを電離させ、電流を発生させます。この電流を検出することで、中性子が検出されたことを確認できるのです。
このように、ヘリウム3中性子計数管は原子炉内の中性子の数を正確に計測するために重要な役割を果たしており、原子力発電所の安全な運転に貢献しています。