原爆

放射線について

急性放射線症:被爆直後に現れる危険

原子力発電は、私たちの暮らしに欠かせない電気を供給する上で、重要な役割を担っています。しかし、原子力発電には、目に見えない放射線が漏れ出す危険性が潜んでいることを忘れてはなりません。放射線が体に当たると、目に見える怪我や痛みはなくても、体の内側からじわじわと健康を蝕む可能性があります。 放射線によって引き起こされる健康被害の中でも、特に注意が必要なのが急性放射線症です。これは、一度に大量の放射線を浴びることで、体の細胞が破壊され、様々な症状が現れる病気です。症状は、放射線の量や浴び方によって異なりますが、吐き気や嘔吐、下痢、発熱といった風邪に似た症状から、皮膚の redness 、脱毛、出血傾向など、深刻なものまで多岐に渡ります。 急性放射線症は、適切な治療を行わなければ、命に関わる危険性も孕んでいます。そのため、原子力発電所では、事故を防ぐための対策を徹底するとともに、万が一、事故が発生した場合に備え、周辺住民の避難計画や医療体制の整備など、様々な対策を講じています。原子力発電の恩恵を享受する一方で、私たち一人ひとりが、放射線被ばくのリスクや安全対策について正しく理解しておくことが重要です。
その他

原爆傷害調査委員会:被爆の影響を調査

1945年8月、広島と長崎に投下された原子爆弾は、都市を壊滅させ、数十万人の命を一瞬にして奪うという、人類史上かつてない悲劇を引き起こしました。この惨劇は、物理的な破壊だけでなく、生き残った人々に放射線による深刻な影響をもたらしました。目に見える傷に加え、将来にわたって現れるかもしれない健康被害への不安が被爆者を苦しめました。このような状況の中、ハリー・トルーマン米国大統領の指示のもと、米国学士院が中心となり、原爆傷害調査委員会(ABCC)が1946年に設立されました。これは、原爆が人間にもたらす影響を科学的に解明するための初めての試みでした。ABCCは、被爆者の健康状態を長期的に追跡調査し、原爆放射線が人体に及ぼす医学的・生物学的影響を明らかにすることを目的としていました。被爆者の記録を集め、健康状態を詳細に調べることで、放射線被曝の影響を明らかにし、将来の核兵器開発や放射線利用における安全基準の策定に役立てることが期待されました。