品質保証

放射線について

放射線治療における誤照射:安全確保への課題

- 誤照射とは医療の現場では、放射線はがん治療など様々な場面で活用され、人々の健康に大きく貢献しています。しかし、放射線は強力な作用を持つため、取り扱いには細心の注意が必要です。医療従事者の不注意や機器の誤作動など、様々な要因によって、医師が意図した線量と異なる線量が患者に照射されてしまうことがあります。これを誤照射と呼び、医療現場では深刻な問題として認識されています。医学放射線物理連絡協議会では、誤照射の中でも、処方された線量より5%以上多く照射された場合を過剰照射と定義し、その深刻度に応じて5段階に分類しています。これは、わずかな線量の差であっても、患者さんの体に影響が及ぶ可能性があるからです。誤照射は、患者さんにとって身体的な影響だけでなく、精神的な苦痛を与える可能性もあります。また、医療機関にとっても、信頼を失墜させる重大な医療事故となります。誤照射を防止するため、医療現場では、放射線治療に関する専門的な知識を持ったスタッフの育成、機器の定期的な点検、複数人による照射前の確認など、様々な対策が講じられています。
原子力の安全

原子力発電の安全を守る品質保証活動

原子力発電所は、私たちの生活に欠かせない電力を供給する重要な施設ですが、同時に、ひとたび事故が起きれば、取り返しのつかない被害をもたらす可能性も秘めています。だからこそ、原子力発電所には、他の産業とは比較にならないほど、厳格な安全確保が求められます。その安全性を担保するのが、品質保証活動です。 品質保証活動とは、設計、建設、運転、保守、修理、改造、廃炉に至るまで、原子力発電所のライフサイクル全体において、あらゆるプロセスが適切に実施されていることを確認する取り組みです。具体的には、あらかじめ定められた手順書に基づいて作業が行われているか、使用される機器や部品が所定の規格を満たしているか、作業員の技能が十分であるかなどを厳しくチェックします。 このように、品質保証活動は、原子力発電所の安全性を確保し、人々の生命と財産、そして環境を守るための最後の砦と言えるでしょう。原子力発電所の安全運転を継続していくためには、品質保証活動に対する不断の努力と、関係者一人ひとりの責任感、そして技術力の向上が欠かせません。
原子力の安全

壊さずに調べる技術:非破壊検査

- 非破壊検査とは非破壊検査とは、読んで字のごとく、検査対象物を壊すことなく、その内部の状態を調べる技術のことです。従来の検査方法では、内部の状態を詳しく調べるためには、対象物を切断したり、一部を破壊したりする必要がありました。しかし、このような方法では、検査後に製品として使用することができなくなってしまいます。一方、非破壊検査では、対象物にX線や超音波、電磁波などを当て、その反射や透過の様子を分析することで、内部の状態を調べます。検査対象物を傷つけることなく検査ができるため、検査後も製品としてそのまま使用することができます。この技術は、航空機や鉄道、橋梁などの社会インフラから、原子力発電所、石油化学プラント、医療機器、電子部品に至るまで、様々な分野で製品の品質保証や安全性の確保に役立っています。近年では、技術の進歩により、より高精度な検査が可能となっており、その重要性はますます高まっています。
原子力の安全

発電設備の安全を守る:発電設備技術検査協会の役割

私たちの生活に欠かせない電気は、様々な発電所で作られていますが、その安全を陰ながら支えている機関があります。それが発電設備技術検査協会、通称JAPEICです。 JAPEICは、昭和45年6月の設立以来、火力発電所や原子力発電所など、多種多様な発電設備の品質維持・向上に力を注いできました。 具体的には、発電所の建設段階から運転、そして定期的なメンテナンスに至るまで、あらゆる段階において技術的な視点から厳しく検査を行い、安全性の確保に貢献しています。 JAPEICの活動は多岐に渡り、検査業務だけでなく、発電設備に関する技術基準の策定や、技術者の育成、さらには国内外の関係機関との連携など、幅広い分野で活躍しています。 このように、JAPEICは電気事業と電機工業の発展に大きく寄与しており、私たちの生活を支える電気の安全・安定供給を陰ながら支える、まさに縁の下の力持ちといえるでしょう。