圧力抑制系

原子力の安全

原子炉の安全を守る:格納容器圧力抑制系の役割

原子炉は、ウラン燃料の核分裂反応を利用して莫大なエネルギーを生み出す施設です。ウランの原子核が中性子を吸収すると、より軽い原子核に分裂し、このとき莫大なエネルギーが熱として放出されます。この現象が連鎖的に起こることで、原子炉は熱エネルギーを継続的に生成します。 この核分裂反応は、高温高圧の環境下で制御されながら行われます。そのため、原子炉は極めて頑丈な構造を持つ必要があります。 原子炉を覆う格納容器は、まさにその頑丈さを体現する構造物です。厚さ数メートルにも及ぶ鉄筋コンクリートと鋼鉄の層で構成され、内部は気密性を高めるために特殊な塗装が施されています。 格納容器は、原子炉で万が一、配管の破損や制御装置の故障などが発生した場合でも、放射性物質の外部への漏洩を何重にも防ぐための最後の砦としての役割を担っています。 原子炉と格納容器は、安全に原子力エネルギーを利用するために、高度な技術と厳格な安全基準に基づいて設計・建設されています。
原子力の安全

原子炉を守る圧力抑制系の仕組み

- 圧力抑制系とは原子力発電所では、発電の際に発生する熱を安全に取り扱うために、様々な工夫が凝らされています。中でも、原子炉で万が一事故が発生した場合に備え、放射性物質が外部に漏れ出すことを防ぐための安全装置は特に重要です。その重要な安全装置の一つが、圧力抑制系です。圧力抑制系は、原子炉で蒸気を発生させる装置である原子炉圧力容器と繋がった巨大なプールのようなものです。このプールには、あらかじめ大量の水が貯められています。原子炉内で何らかの異常が発生し、圧力容器内の圧力が異常に上昇した場合、圧力抑制系が作動します。具体的には、圧力容器と圧力抑制系を繋ぐ配管に設置された弁が開き、圧力容器内の蒸気が圧力抑制室に放出されます。圧力抑制室に放出された蒸気は、プール内の水と接触し、急速に冷やされて水に戻ります。これにより、原子炉圧力容器内の圧力は低下し、安定した状態を保つことができるのです。圧力抑制系は、事故発生時の原子炉の圧力上昇を抑制し、放射性物質の外部への放出を防ぐという、原子力発電所の安全確保に欠かせない重要な役割を担っています。