壊変系列

核燃料

ウラン系列:原子力のルーツを探る

- ウラン系列原子核が織りなす壮大な連鎖反応 ウラン系列とは、ウラン238という放射性元素が、長い年月をかけて安定した鉛206へと変化していくまでの壮大な物語です。まるで家系図のように、親であるウラン238から始まり、子、孫、ひ孫へと、放射性崩壊と呼ばれる現象によって次々と異なる原子核へと姿を変えていきます。 この過程で、原子核は大きく分けて二つの変身を遂げます。一つはα崩壊と呼ばれるもので、これは原子核がヘリウム原子核を放出することで、原子番号が2つ、質量数が4つ減少する変化です。もう一つはβ崩壊と呼ばれ、こちらは原子核の中から電子が放出されることで、原子番号が1つ増加する変化です。ウラン系列では、α崩壊が8回、β崩壊が6回起こり、最終的に安定した鉛206へとたどり着くのです。 このように、ウラン系列は、原子核が不安定な状態から安定な状態へと変化していく過程を示すものであり、その変化は、まるで家が地震や台風によって少しずつ姿を変えていくように、長い年月をかけてゆっくりと進んでいきます。そして、ウラン238から鉛206にたどり着くまでにかかる時間は、なんと約45億年にも及びます。これは地球の年齢にも匹敵する、気の遠くなるような時間スケールです。
放射線について

α放射体:原子核から飛び出すα粒子の謎

- α放射体とは物質は原子と呼ばれる小さな粒からできており、その中心には原子核が存在します。原子核はさらに陽子と中性子から構成されていますが、原子核の中には不安定な状態のものがあり、より安定な状態へと変化しようとします。このような不安定な原子核を持つ物質を放射性物質と呼びます。放射性物質が安定な状態へと変化する過程で、様々な粒子やエネルギーを放出します。この現象を放射性崩壊と呼びますが、α放射体と呼ばれる物質は、α崩壊という現象を通して安定化する物質です。α崩壊では、原子核からα粒子と呼ばれる粒子が放出されます。α粒子は、陽子2個と中性子2個が結合したもので、ヘリウム原子の原子核と同じ構造をしています。α崩壊によって、α放射体の原子番号は2つ減り、質量数は4つ減ります。これは、α粒子として陽子2個と中性子2個が放出されるためです。α粒子は他の放射線と比べて物質中を通過する力が弱く、薄い紙一枚で止めることができます。しかし、体内に入ると細胞に大きなダメージを与える可能性があります。そのため、α放射体を扱う際には、適切な遮蔽と取り扱い方法が必要となります。