外部被曝

放射線について

β線放出核種:原子力施設における監視の対象

- β線放出核種とはβ線放出核種とは、原子核が不安定な状態からより安定した状態へと変化する際に、β線と呼ばれる電子の流れを放出する放射性核種のことを指します。原子核は陽子と中性子から構成されていますが、その組み合わせによっては不安定な状態となることがあります。このような不安定な原子核は、より安定した状態になろうとして、自発的に放射線を放出する性質を持っています。これを放射性壊変と呼びます。β線放出核種の場合、この放射性壊変はβ壊変と呼ばれ、原子核内部の中性子が陽子へと変化することで起こります。この変化に伴い、β線と呼ばれる高速の電子が放出されます。β線は物質透過力がγ線よりも強く、α線よりも弱いです。そのため、β線放出核種から放出されるβ線を遮蔽するには、α線の場合よりも厚い遮蔽物が必要となります。β線放出核種は、自然界にも広く存在しています。例えば、カリウム40は自然界に存在するカリウムの同位体の一つであり、β壊変を起こしてカルシウム40へと変化します。この他にも、炭素14やウラン238など、多くのβ線放出核種が自然界に存在しています。一方、原子力発電所などの人工的な活動によっても、β線放出核種は生成されます。原子力発電では、ウラン235などの核分裂反応を利用してエネルギーを取り出しますが、この過程で様々な放射性物質が生成されます。その中には、β線放出核種も含まれています。β線放出核種は、医療分野や工業分野など、様々な分野で利用されています。例えば、医療分野では、ヨウ素131やテクネチウム99mなどのβ線放出核種が、がんの診断や治療に用いられています。また、工業分野では、厚さ計やレベル計など、様々な計測器にβ線放出核種が利用されています。
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個人被ばく管理:安全な原子力利用のために

- 個人被ばく管理とは原子力発電所や医療現場、研究施設など、放射線を扱う職場では、そこで働く人々が放射線の影響を受ける可能性があります。目に見えず、匂いもしない放射線から働く人々を守るためには、一人ひとりの受ける放射線量を測定し、記録し、管理する必要があります。これを個人被ばく管理と呼びます。個人被ばく管理は、主に線量計を用いて行われます。線量計は、体に装着したり、ポケットに入れたりすることで、個人が受ける放射線量を測定する機器です。測定された放射線量は、法令で定められた一定期間ごとに記録・保管されます。個人被ばく管理の目的は、大きく分けて二つあります。一つ目は、個人が受ける放射線量を法令で定められた限度以下に抑えることです。これにより、放射線による健康影響のリスクを低減することができます。二つ目は、作業環境における放射線レベルを把握し、安全な作業環境の維持・改善に役立てることです。個人被ばく管理は、放射線を取り扱う職場において、働く人々の安全と健康を守る上で非常に重要なものです。