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気候変動の謎に迫るCLIVAR:過去から未来への知見

- 気候変動研究の最前線CLIVARとは?地球全体の気候の移り変わりは、私たちの社会や生態系に大きな影響を与えます。将来、より的確な気候の予測を行うためには、複雑な気候システムを深く理解することが不可欠です。そこで、世界中の研究者が協力し、気候変動の謎に挑む国際的な研究計画、CLIVARが重要な役割を担っています。CLIVARは、世界気候研究計画(WCRP)の一環として1995年に発足しました。 CLIVARの大きな目標は、地球の気候システム、特に大気と海洋が相互に作用する様子を明らかにすることです。 これまで、過去の気候変動を分析することで、地球全体の気温変化や海水面の変動、極地の氷の増減といった現象がどのように起こってきたのかを解明してきました。そして、その知識を基に、コンピュータシミュレーションを用いて将来の気候変動を予測する研究も進めています。CLIVARの特徴は、時間スケールの広さにあります。 過去の気候変動を数十年、数百年といった長いスパンで分析するだけでなく、数年から数十年の期間で起こる変化も研究対象としています。さらに、将来の気候が100年後、200年後といった長いスパンでどのように変化していくのかについても、最新の気候モデルを用いて予測しています。CLIVARは、世界中の研究機関と研究者が連携して進める、まさに国際的な共同研究の賜物です。 日本も、気候変動に関する観測やモデリング研究など、様々な形でCLIVARに貢献しています。CLIVARの研究成果は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書にも引用されており、国際社会における気候変動対策の重要な科学的根拠となっています。
その他

気候変動の鍵、大気海洋結合大循環モデルとは

- 気候の未来を予測する地球温暖化は、私たちの住む地球に様々な影響を及ぼすと危惧されています。未来の気候変動を予測し、その影響に備えることは、私たち人類にとって非常に重要な課題です。将来の気候変動を予測するために、科学者たちは「大気海洋結合大循環モデル」という複雑な計算機シミュレーションを用いています。大気海洋結合大循環モデルは、その名の通り、大気と海洋の循環を組み合わせたモデルです。地球全体の気候を再現するために、大気中の気温、湿度、風速、気圧などの要素と、海洋中の水温、塩分濃度、海流などの要素を、物理法則に基づいて計算します。このモデルは、地球全体を細かい格子状に区切り、それぞれの格子点で時間経過に伴う大気と海洋の変化を計算することで、将来の気候変動を予測します。大気海洋結合大循環モデルは、温室効果ガスの排出量シナリオに基づいて、将来の気温上昇、降水量の変化、極地の氷床の融解などを予測することができます。これらの予測結果は、気候変動の影響評価や適応策の検討に活用されます。例えば、農作物の収穫量への影響予測、洪水や干ばつなどの自然災害リスク評価、海面上昇による沿岸地域の浸水被害予測などに役立てます。しかし、大気海洋結合大循環モデルは完璧ではありません。地球の気候システムは非常に複雑であり、まだ完全に解明されていない現象も多いため、モデルには限界や不確実性が存在します。そのため、より精度の高い気候変動予測のためには、モデルの改良や観測データの充実が不可欠です。
放射線について

宇宙から降り注ぐ高エネルギー粒子、一次宇宙線

宇宙は、無数の星や銀河が広がる広大な空間ですが、目には見えないエネルギーの粒子も飛び交っています。その粒子のことを「宇宙線」と呼びます。宇宙線は、宇宙空間を光に近い速度で移動する高エネルギーの放射線です。 その起源は、太陽フレアなど太陽活動に由来するものから、銀河系内の超新星爆発や銀河系外から飛来するものまで様々です。地球には、絶えず宇宙のあらゆる方向から宇宙線が降り注いでいます。 宇宙線は、地球の大気に突入すると、大気中の窒素や酸素などの原子核と衝突します。すると、元の宇宙線は壊れてしまい、新たに様々な種類の粒子を生み出します。最初に地球に飛び込んできた宇宙線を一次宇宙線と呼び、大気中で発生した粒子を二次宇宙線と呼びます。 私たちが普段生活する地上にも宇宙線は降り注いでいますが、地上の宇宙線量は微量であるため、人体への影響はほとんどありません。しかし、飛行機に乗る高度など、高い場所では宇宙線の量も多くなります。
その他

熱帯海洋・地球大気計画:気候予測への挑戦

世界規模で気候が変化していることは、もはや疑いようのない事実となっています。この変化がもたらす影響は、私たちの社会や生態系に深刻な脅威を与えかねません。こうした状況を背景に、世界各国が協力して気候変動への理解を深めようという取り組みが進められています。 その代表的な例が、世界気象機関(WMO)が中心となって推進している世界気候研究計画(WCRP)です。この計画は、複雑な気候システムのメカニズムを解き明かすことを目的としています。具体的には、大気や海洋、陸地、そして氷雪圏といった地球の各要素がどのように相互作用しているのか、そして人間活動が気候にどのような影響を与えているのかを、科学的な観点から調査しています。 WCRPで得られた研究成果は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の評価報告書など、政策決定の重要な根拠として活用されています。また、持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも大きく貢献することが期待されています。 気候変動は、国境を越えた地球規模の課題です。WCRPのような国際的な協力体制を通じて、より正確な予測と効果的な対策を推進していくことが、私たち人類共通の目標と言えるでしょう。
太陽光発電

太陽光発電とヒートアイランドの関係

近年、地球全体の気温上昇が深刻な問題となっており、その対策として二酸化炭素を出さないエネルギーを作り出す技術が注目を集めています。 太陽光発電は、太陽の光を直接電気に変換することができるため、地球温暖化対策の切り札として期待されています。 太陽光発電は、太陽の光を受けて発電する仕組みであるため、燃料を必要とせず、発電時に二酸化炭素を排出しません。また、一度設置してしまえば、太陽の光がある限り半永久的に電気を作り出すことができます。 太陽光発電システムは、住宅の屋根に設置されるケースが増えてきています。屋根に設置された太陽光パネルは、太陽の光を受けて発電し、その電気を家庭内で使うことができます。さらに、使い切れなかった電気は電力会社に買い取ってもらうことも可能です。 太陽光発電は、環境に優しいだけでなく、家計にも優しいシステムとして、ますます普及していくと考えられます。 太陽光発電は、住宅以外にも、工場や商業施設、学校などの公共施設など、様々な場所に設置されるようになっています。広大な土地を活用した大規模な太陽光発電所も建設されており、太陽光発電は、私たちの社会にとって、なくてはならないエネルギー源になりつつあります。