
原子力施設とプルーム拡散
- プルームとはプルームとは、煙突などから排出された煙が、まるで空にたなびく羽毛や草木の穂のように、大気中を漂う様子を表す言葉です。工場の煙突から立ち上る煙や、寒い冬の日に車のマフラーから出る白い煙を思い浮かべると、イメージしやすいでしょう。原子力発電所でも、原子炉を冷却した後に発生する水蒸気や、ごく微量の放射性物質を含む気体などを、高い煙突を通して大気中に放出しています。このとき、煙突から排出される気体の流れ自体もプルームと呼びます。プルームは、風や気温、日射などの気象条件によって、その形や広がり方が大きく変化します。風があれば横にたなびき、気温が低ければ上昇しにくく、日射が強ければ上昇しやすくなるといった具合です。そのため、原子力発電所では、プルームの動きを予測し、環境への影響を評価することが非常に重要です。具体的には、気象観測やコンピュータシミュレーションなどを用いて、プルームの広がり方や濃度を予測し、周辺環境への影響が十分に小さいことを確認しています。また、万が一、放射性物質が環境に放出された場合でも、プルームの動きを予測することで、迅速かつ適切な対応をとることが可能となります。