独自技術が生んだ原子力発電:カナダ型重水炉
- カナダ型重水炉とはカナダ型重水炉は、その名の通りカナダで開発された原子力発電炉です。正式名称はCANDU炉と言い、これは「CANadian Deuterium Uranium(カナダ重水ウラン)」の頭文字を取ったものです。この原子炉は、現在世界で主流となっている軽水炉とは異なる設計思想に基づいており、独自の技術が使われています。最大の特徴は、天然ウランを燃料として使用できる点です。ウランには、核分裂しやすいウラン235と、そうでないウラン238が存在します。天然ウランにおけるウラン235の濃度はわずか0.7%程度ですが、カナダ型重水炉はこの濃度のまま燃料として使用できます。一方、軽水炉ではウラン235の濃度を3~5%程度にまで濃縮する必要があり、特別な施設とコストがかかります。さらに、カナダ型重水炉は運転中に燃料交換が可能という利点も持ち合わせています。軽水炉の場合、燃料交換を行うためには原子炉を停止しなければなりませんが、カナダ型重水炉は運転を続けながら燃料交換ができます。そのため、高い稼働率を維持することが可能です。しかし、カナダ型重水炉にも課題はあります。軽水炉に比べて大型になりやすく、建設コストが高額になりやすい点は、導入を検討する上で重要な要素となります。このように、カナダ型重水炉は独自の技術を用いることで、天然ウランの使用や運転中の燃料交換といった特徴を実現しています。世界的に見ると、カナダをはじめ、インドや韓国などで採用されている原子炉です。