宇宙線

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ミュー粒子: 素粒子の世界を探る万能粒子

- ミュー粒子とはミュー粒子は、私たちの身の回りにある物質を構成する最小単位である素粒子の一つです。 原子の中心にある原子核の周りを回る電子と似た性質を持っていますが、ミュー粒子は電子よりもはるかに重いという特徴があります。電子の約200倍もの重さがあるため、「重い電子」と呼ばれることもあります。電子と同じように、ミュー粒子も負の電荷を持っています。また、コマのように回転する性質である「スピン」も電子と同じように持っています。このように、ミュー粒子は電子と共通点が多い素粒子ですが、決定的に異なる点があります。それは、ミュー粒子は不安定で、非常に短い時間で他の粒子に壊れてしまうということです。物質を構成する粒子である電子は安定していて壊れることはありませんが、ミュー粒子は平均でわずか2.2マイクロ秒という短い時間で崩壊し、電子とニュートリノと呼ばれる粒子に変わってしまいます。ミュー粒子は、宇宙から降り注ぐ宇宙線が大気中の原子と衝突した際に発生することが知られています。また、加速器と呼ばれる巨大な実験装置を用いることで、人工的に作り出すことも可能です。寿命が短く、すぐに崩壊してしまうミュー粒子ですが、その性質や振る舞いを調べることで、宇宙の成り立ちや素粒子物理学の謎に迫ることが期待されています。
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ミューオン:宇宙から来た素粒子の不思議な力

- ミューオンとは?ミューオンは、私たちの身の回りにある物質を構成する基本的な粒子である素粒子の一つです。電子と同じように負の電気を帯びびていますが、電子よりもはるかに重いという特徴があります。電子の約200倍の重さを持っているため、ミューオンは電子の仲間であるレプトンの中でも「重い電子」と呼ばれることもあります。しかし、ミューオンは非常に寿命が短いという特徴も持ち合わせています。その寿命はわずか2.2マイクロ秒しかありません。これは、1秒間に100万分の2.2秒しか存在できないことを意味します。ミューオンは、宇宙から地球に絶えず降り注ぐ宇宙線の中に含まれており、宇宙線が大気中の原子と衝突することで生まれます。物質を透過する力が強いことも、ミューオンの特徴の一つです。これは、ミューオンが他の物質と相互作用しにくい性質を持っているためです。そのため、厚い岩盤や建物なども容易に通り抜けることができます。この性質を利用して、ピラミッド内部の構造調査や火山内部のマグマの動きを探る研究など、様々な分野でミューオンが活用されています。
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宇宙から降り注ぐ銀河宇宙線

夜空に輝く星々を見上げると、宇宙の広大さに畏敬の念を抱くと同時に、その神秘的な現象の数々に好奇心を掻き立てられます。地球には、はるか遠くの宇宙からやってくる、目には見えない小さな粒子の流れが絶えず降り注いでいます。これが銀河宇宙線と呼ばれるものです。 一体、銀河宇宙線はどこで生まれているのでしょうか?その起源は、太陽系をはるかに超えた宇宙空間で起こる、想像を絶するほど激しい爆発現象だと考えられています。 特に、太陽よりもずっと重い星が、その一生を終える時に起こす超新星爆発は、銀河宇宙線の主要な発生源の一つと考えられています。超新星爆発は、莫大なエネルギーを宇宙空間に解き放ちます。この時、様々な元素が宇宙空間にまき散らされ、その一部は電気を帯びた粒子として、光の速度に近い速度まで加速されます。これが銀河宇宙線となるのです。 銀河宇宙線は、宇宙空間を長い年月をかけて旅し、地球にも絶え間なく降り注いでいます。銀河宇宙線の観測と研究は、宇宙の歴史や進化、物質の起源などを解き明かすための重要な手がかりを与えてくれるのです。
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銀河から降り注ぐ宇宙線

- 銀河宇宙線とは宇宙は広大で、たくさんの星や銀河が存在していますが、それだけではありません。目には見えませんが、宇宙からは絶えず小さなエネルギーの粒子が地球に降り注いでいます。これらを銀河宇宙線と呼びます。例えるなら、宇宙から降る極微の雨のようなものです。銀河宇宙線は、私たちの太陽系よりもはるか遠くからやってきます。その発生源は、太陽のように自ら光り輝く恒星がその一生を終えるときに起こす大爆発(超新星爆発)や、銀河の中心にある巨大なブラックホールなどが考えられています。これらの粒子のほとんどは、陽子やヘリウム原子核といった、原子の基本的な構成要素です。その他にも、ごくわずかにリチウムやベリリウムなどの重い元素も含まれています。銀河宇宙線は、ほぼ光の速度という、想像を絶する速さで宇宙空間を飛び回っています。そのため、非常に高いエネルギーを持っていることが特徴です。地球の大気は私たちを宇宙線から守る盾の役割を果たしていますが、一部は地球に到達し、大気中の原子と衝突して様々な反応を引き起こします。
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宇宙のエネルギー単位:TeV入門

私たちの日常生活は、電気や熱などのエネルギーなしには成り立ちません。例えば、照明を灯したり、温かい食事を作ったり、車を走らせたりと、あらゆる場面でエネルギーが使われています。私たちが普段使うエネルギーの単位は、ジュール(J)やカロリー(cal)ですが、これはマクロな世界での尺度と言えます。目に見えないミクロの世界では、原子核や素粒子といった極めて小さなものが飛び交い、全く異なるエネルギーのスケールで動いています。 ミクロの世界のエネルギーを表す単位としてよく使われるのが、「エレクトロンボルト(eV)」です。1eVは、電子1個が1ボルトの電圧で加速されたときに得るエネルギーに相当します。電子は非常に小さな粒子なので、1eVというエネルギーも非常に小さなものになります。しかし、原子や分子といった極微の世界では、この1eVというエネルギーが重要な意味を持つのです。例えば、水素原子の最もエネルギーの低い状態(基底状態)と、次にエネルギーの高い状態(励起状態)とのエネルギー差は約10eVです。このように、エレクトロンボルトは、原子や分子のエネルギー準位、化学反応におけるエネルギー変化、光のエネルギーなどを表すのに便利な単位となっています。
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身近に存在する自然放射線

私たちの身の回りは、目には見えませんが、自然放射線と呼ばれる微量の放射線に常にさらされています。放射線と聞くと、原子力発電所や医療現場で使われるレントゲンを思い浮かべ、人工的に作り出されたものという印象を持つかもしれません。しかし、自然放射線は、そうした人工的なものとは異なり、自然界から生まれ出る放射線を指します。 この自然放射線は、大きく二つに分けられます。一つは、宇宙から地球に降り注ぐ宇宙線に由来するものです。遠い宇宙空間を起源とする高エネルギーの粒子が、絶えず地球に降り注いでいるのです。もう一つは、地球上に存在する物質から出ているものです。私たちの身の回りにある土や岩石、空気や水、そして食べ物など、あらゆるものに微量の放射性物質が含まれており、そこから放射線が出ています。 自然放射線の量は場所によって異なり、宇宙線は高地ほど多く、また、花崗岩などの特定の種類の岩石が多い地域では、そこから出る放射線の量も多くなります。私たちは、このような自然放射線を浴びながら生活していますが、その量はごくわずかであり、健康に影響を与えるレベルではありません。自然放射線は、私たちにとって身近でありながら、普段は意識することの少ない存在と言えるでしょう。
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自然界に存在する放射線源

- 自然放射性核種とは 地球が誕生した時から、私たちの身の回りにはウランやトリウムのように、放射線を出しながら他の元素へと姿を変える性質を持つ物質、すなわち放射性物質が存在しています。これを自然放射性核種と呼びます。人工的に作り出された放射性物質である人工放射性核種とは異なり、自然放射性核種は自然界に元々存在するものです。 自然放射性核種には、ウランやトリウムの他にも、カリウム40や炭素14など様々な種類があります。これらの放射性物質は、それぞれがウラン系列、トリウム系列、アクチニウム系列といった崩壊系列を形成し、長い年月をかけて崩壊を繰り返しながら、最終的には安定な鉛へと変化していきます。 自然放射性核種は、土壌や岩石、大気、水など、私たちの身の周りのあらゆる場所に存在しています。そのため、私たちは常に微量の自然放射線を浴びながら生活しています。これらの放射線は、宇宙から降り注ぐ宇宙線と同様に、私たちの生活に無くてはならない自然現象の一部といえます。
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原子力発電の基礎:同時計数回路

- 同時計数回路とは放射線を検出する装置である計数管は、様々な分野で利用されていますが、その応用範囲を大きく広げる技術の一つに、同時計数回路があります。これは、複数の計数管からの信号を同時に受け取った場合にのみ動作する特殊な回路です。計数管は、放射線が通過すると電気信号を発生させますが、この信号は自然界に存在するノイズや、目的外の放射線によっても発生することがあります。そのため、一つの計数管からの信号だけで判断すると、誤った測定結果を導き出す可能性があります。そこで、同時計数回路を用いることで、このような問題を解決することができます。二つ、あるいはそれ以上の計数管を接近させて配置し、それぞれの計数管からの信号が、ほぼ同時に回路に到達した時のみを有効な信号として計数する仕組みになっています。例えば、宇宙から飛来する非常にエネルギーの高い粒子である宇宙線を観測する場合を考えてみましょう。宇宙線は大気中の原子と衝突し、多数の粒子がシャワーのように地上に降り注ぎます。この時、隣接する複数の計数管がほぼ同時に反応した場合、それは宇宙線とその生成物が通過したことを示しており、ノイズやその他の放射線による誤検出の可能性を大幅に低減できます。このように、同時計数回路は、偶然に発生する可能性の低い、特定の事象だけを検出するのに役立ち、放射線の研究分野だけでなく、医療分野や工業分野など、様々な分野で応用されています。
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環境放射線:私たちの周りの放射線

- 環境放射線とは環境放射線とは、私たちの身の回りのあらゆる場所に存在する放射線のことを指します。空気や水、土壌など、自然界の至るところに放射線は存在しており、私たち人間も、日常生活を送る中で常に環境放射線を浴びています。環境放射線には、大きく分けて二つの種類があります。一つは、自然界に元から存在する自然放射線です。これは、宇宙から降り注ぐ宇宙線や、大地に含まれるウランやトリウムといった放射性物質から出ているものです。もう一つは、人工放射線と呼ばれ、これは人間の活動に伴って生じる放射線です。原子力発電所や病院などで利用される放射線も、この人工放射線に含まれます。環境放射線は、私たちの体に全く影響を与えないわけではありません。しかし、その量はごくわずかであり、健康に影響を及ぼすレベルではありません。環境省などでは、環境放射線の量を常に監視しており、安全性が確認されています。環境放射線について正しく理解することは、私たちの生活を守る上で非常に重要です。むやみに恐れることなく、正しい知識を身につけ、冷静に状況を判断することが大切です。
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太陽活動と宇宙線、そして私たちの関係

広大な宇宙空間から、地球には絶えず高エネルギーの粒子が降り注いでいます。これが宇宙線と呼ばれるもので、その正体は、太陽系外からやってくる陽子やヘリウム原子核といった原子核が大部分を占めます。これらの粒子は、光速に近い速度で宇宙を旅しており、地球に到達した際には、大気中の窒素や酸素の原子核と衝突を起こします。 この衝突によって、パイ中間子やミュー粒子といった様々な二次粒子が生成されます。これらの粒子はさらに崩壊や反応を繰り返しながら、シャワーのように地上へと降り注ぎます。これが宇宙線シャワーと呼ばれる現象です。 宇宙線の発生源は、太陽フレアや超新星爆発といった宇宙規模で起こるエネルギー現象だと考えられています。これらの現象によって加速された高エネルギー粒子が、宇宙空間を飛び回り、地球にも到達するのです。宇宙線は、地球の大気や気候、さらには生物にも影響を与える可能性が示唆されており、宇宙と地球の密接な繋がりを示す興味深い現象と言えるでしょう。
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空の旅と放射線

私たちは普段地上で生活する中で、自然の恵みからわずかな量の放射線を常に浴びています。これは自然放射線と呼ばれています。しかし、飛行機に乗って空の旅を楽しむときには、地上よりも多くの宇宙放射線を浴びることになるのです。 地上では、大気の層が私たちを守ってくれています。大気は宇宙からやってくる放射線を吸収し、地上に届く放射線の量を減らしてくれる役割を果たしています。しかし、飛行機で高度を上げていくと、この大気の層はどんどん薄くなっていきます。 高度1万メートルの上空では、地上の100倍もの宇宙放射線を浴びると言われています。これは、地上と比べて大気の層が薄くなり、宇宙放射線を遮るものが少なくなるためです。 しかし、だからといって飛行機に乗ることが危険ということではありません。飛行機に搭乗する回数や時間、飛行ルートなどによって浴びる放射線量は異なりますが、一般的な旅行で浴びる放射線量はごくわずかです。健康への影響はほとんどないと考えられています。
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宇宙を探る目: フォスイッチ型中性子検出器

私たちが目にする物質は、原子という小さな粒からできています。原子は中心にある原子核とその周りを回る電子からなり、さらに原子核は陽子と中性子というさらに小さな粒子で構成されています。陽子はプラスの電荷、電子はマイナスの電荷を持つため、電気的な力で互いに影響し合っています。しかし、中性子は電荷を持ちません。そのため、電気的な力を利用する通常の検出器では捉えることができません。 電荷を持たない中性子をどのように検出するのでしょうか? その答えは、中性子が持つエネルギーにあります。 中性子は物質の中を進む時、他の原子と衝突することがあります。この衝突によって、中性子は自身のエネルギーを相手に渡し、自身は減速したり、方向を変えたりします。ビリヤードの球をイメージすると分かりやすいでしょう。動く球が静止している球にぶつかると、動いていた球はエネルギーを失い、静止していた球は動き出します。 中性子検出では、この衝突によって生じる現象を利用します。中性子が原子に衝突すると、原子から陽子が飛び出すことがあります。この陽子はプラスの電荷を持っているので、検出器で捉えることができます。つまり、直接見ることのできない中性子を、陽子という別の粒子を通して間接的に観測するのです。この検出方法を用いることで、原子力発電をはじめ、様々な分野で中性子の振る舞いを調べることが可能になります。
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太陽活動と宇宙線の関係:フォーブシュ減少

夜空に輝く星々を見上げると、宇宙の広大さに畏敬の念を抱くと同時に、どこか遠い世界からのメッセージが届いているような、不思議な気持ちになることがあります。私たちが暮らす地球には、宇宙空間から絶えず高エネルギーの粒子が降り注いでいます。これは宇宙線と呼ばれ、そのエネルギーは、人工的に作り出すことのできるエネルギーをはるかに超えるものもあります。 一体、このような莫大なエネルギーを持つ宇宙線はどこで生まれているのでしょうか? その答えは、私たちの住む銀河系のはるか彼方、想像を絶する天体現象にあります。 まず、寿命を迎えた星が大爆発を起こす超新星爆発が挙げられます。この爆発は、太陽の10倍以上の質量を持つ星がその一生を終える際に起こり、凄まじいエネルギーを宇宙空間に放出します。この時、放出された物質が宇宙線となるのです。 また、銀河の中心部にある活動銀河核も、宇宙線の発生源の一つと考えられています。活動銀河核は、太陽の100万倍から10億倍もの質量を持つ超巨大ブラックホールが周囲の物質を飲み込むことで、強烈なエネルギーを放出しています。このエネルギーによって加速された粒子が、宇宙線として地球にまで到達するのです。 このように、宇宙線は、宇宙の壮大なドラマの中で生まれた、言わば天体からの手紙のようなものです。これらの宇宙線を調べることで、宇宙の進化や、まだ解明されていない宇宙の謎を解き明かす鍵が得られると期待されています。
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外部被ばく:放射線の人体への影響

- 外部被ばくとは私たちが日常生活を送る中で、身の回りの環境から放射線を受けることを、外部被ばくと言います。放射線は光のように目に見えるものではなく、においや味もないため、気づかないうちに浴びてしまうことがあります。外部被ばくの原因は、大きく二つに分けられます。一つは自然放射線です。これは宇宙や大地、空気など、自然界から常に出ている放射線です。場所によっては、地面から発生する放射線量の多い地域もありますし、飛行機に乗ることで宇宙からの放射線を多く浴びることもあります。もう一つは人工放射線です。これは、レントゲン撮影やCT検査といった医療現場や、原子力発電所など、人間の活動によって生み出される放射線を指します。私たちは普段の生活の中で、これらの放射線を自然放射線と人工放射線の両方から受けています。しかし、その量はごくわずかであり、健康に影響を与えるレベルではありません。 被ばく量を抑えるためには、放射線源から距離を置く、放射線を遮蔽する、被ばく時間を短くするといった対策が有効です。
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放射線測定の邪魔者:バックグラウンドとは?

原子力発電所や病院など、放射線を扱う施設では、安全管理や治療効果の確認などのため、放射線の量を正確に測ることが大変重要です。しかし、放射線の測定は、対象物から出ている放射線だけを捉えれば良いという単純なものではありません。測定の際には、目的とする放射線以外にも様々な放射線が飛び込んでくるため、正確な測定を妨げてしまうことがあります。 このような、測定したい放射線以外の放射線をバックグラウンドと呼びます。バックグラウンドの原因としては、自然界に存在する放射性物質からの放射線や、宇宙から降り注ぐ宇宙線などが挙げられます。また、測定機器自身からも微弱な放射線が出ている場合があり、これもバックグラウンドの原因となります。 バックグラウンドは、測定の精度を低下させるため、可能な限り低減することが求められます。バックグラウンドを低減するためには、測定機器の周囲を鉛などの遮蔽材で囲ったり、測定時間や測定方法を工夫したりするなどの対策がとられています。これらの対策によってバックグラウンドの影響を最小限に抑え、より正確な放射線量測定を実現しています。
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宇宙から降り注ぐ元素の謎

地球は広大な宇宙に浮かぶ、水の惑星として知られていますが、実は絶えず宇宙から飛来する高エネルギーの粒子にもさらされています。これが宇宙線と呼ばれるもので、太陽表面での爆発現象や、恒星がその一生を終える際に起こす超新星爆発など、宇宙の様々な場所で発生する現象によって生み出されます。 宇宙線は、太陽系や銀河系を超えて地球にまで到達し、大気圏に突入してきます。すると、大気中に存在する窒素や酸素といったありふれた元素の原子核と衝突します。この衝突は非常に高いエネルギーで行われるため、原子核同士で核反応という反応が起こります。この核反応によって、元の原子核とは陽子の数や中性子の数が異なる、新しい原子核が生成されます。これが宇宙線起源核種と呼ばれるもので、自然界に存在する放射性同位元素の一部はこの過程で生まれます。 宇宙線起源核種には様々な種類が存在し、その生成量は宇宙線の強度や大気の状態、地磁気の影響などによって変化します。そのため、過去の宇宙環境や気候変動を解明する上で、宇宙線起源核種の量や分布は重要な手がかりとなります。
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宇宙から降り注ぐ粒子の謎:宇宙線

私達が住む地球には、宇宙から絶えず様々な粒子が降り注いでいます。これらの粒子は宇宙線と呼ばれ、宇宙の謎を解き明かすための重要な手がかりとなっています。目には見えませんが、私達の体も建物も、常に宇宙線のシャワーを浴びているのです。 宇宙線は、主に水素やヘリウムの原子核からなる高エネルギーの粒子です。これらの粒子は、太陽よりもはるか遠く、銀河系やさらにその先からやってきます。宇宙線の発生源としては、超新星爆発や活動銀河核などが考えられています。 宇宙線は、地球の大気圏に突入すると、窒素や酸素などの原子核と衝突し、様々な素粒子を作り出します。この現象は「空気シャワー」と呼ばれ、地上に到達する宇宙線の量や種類を変化させます。そのため、宇宙線を直接観測するためには、人工衛星や気球を用いて大気圏外や高空で観測を行う必要があります。 宇宙線の研究は、宇宙の起源や進化、物質の究極の姿などを探る上で非常に重要です。また、宇宙線は電子機器の誤作動や人体への影響など、私達の生活にも関わりがあります。宇宙線の謎を解き明かすことは、宇宙への理解を深めるとともに、私達の生活を守る上でも重要なのです。
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宇宙線の緯度効果:なぜ極地で強い?

私たちの暮らす地球は、広大な宇宙空間の中に浮かぶ、小さな星の一つです。そして、その宇宙からは、目には見えない高エネルギーの粒子が常に降り注いでいます。これらの粒子は宇宙線と呼ばれ、はるか遠くの銀河や、私たちにとって最も身近な恒星である太陽などからやってきます。 宇宙線の大部分は、水素の原子核である陽子や、ヘリウムの原子核など、電気を帯びた粒子で構成されています。これらの粒子は、光の速さにも匹敵する猛スピードで宇宙空間を飛び回り、地球の大気にも絶え間なく降り注いでいます。 宇宙線は、地球の大気に突入すると、空気中の窒素や酸素などの原子核と衝突します。すると、その衝突エネルギーによって、様々な種類の新しく軽い粒子が生成されます。これを二次宇宙線と呼びます。二次宇宙線の一部は、地表にまで到達し、私たちの体も通過していきます。
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宇宙から降り注ぐ高エネルギー粒子、一次宇宙線

宇宙は、無数の星や銀河が広がる広大な空間ですが、目には見えないエネルギーの粒子も飛び交っています。その粒子のことを「宇宙線」と呼びます。宇宙線は、宇宙空間を光に近い速度で移動する高エネルギーの放射線です。 その起源は、太陽フレアなど太陽活動に由来するものから、銀河系内の超新星爆発や銀河系外から飛来するものまで様々です。地球には、絶えず宇宙のあらゆる方向から宇宙線が降り注いでいます。 宇宙線は、地球の大気に突入すると、大気中の窒素や酸素などの原子核と衝突します。すると、元の宇宙線は壊れてしまい、新たに様々な種類の粒子を生み出します。最初に地球に飛び込んできた宇宙線を一次宇宙線と呼び、大気中で発生した粒子を二次宇宙線と呼びます。 私たちが普段生活する地上にも宇宙線は降り注いでいますが、地上の宇宙線量は微量であるため、人体への影響はほとんどありません。しかし、飛行機に乗る高度など、高い場所では宇宙線の量も多くなります。
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目に見える宇宙線: スパークチェンバーの仕組み

スパークチェンバーとは、1960年代まで宇宙線や原子核実験の研究において重要な役割を担っていた装置です。 この装置は、目に見えない宇宙線を、まるで花火のように光らせることで、その飛跡を視覚化するという画期的なものでした。 スパークチェンバーの構造は、薄い金属板を平行に並べ、その間隔を一定に保ったものです。 そして、金属板に高電圧をかけ、内部にヘリウムやアルゴンなどの気体を封入します。 宇宙線がチェンバー内を通過すると、気体の分子と衝突し、電離を引き起こします。 この電離によって生じた電子は、高電圧によって加速され、さらに多くの気体分子と衝突します。 その結果、電子の雪崩現象が発生し、金属板間で火花放電が起こります。 この火花放電は、宇宙線が通過した軌跡に沿って発生するため、その飛跡を目に見える形で観測することができます。 スパークチェンバーは、宇宙線のエネルギーや運動量などを測定するために用いられ、当時の研究者たちに新たな発見をもたらしました。 しかし、その後、より高精度な観測が可能な装置が登場したため、現在では、スパークチェンバーは第一線からは退いています。 それでも、その視覚的な美しさから、科学館などで展示されることがあります。
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宇宙開発の落とし穴:シングルイベント効果

- シングルイベント効果とは宇宙空間は、地上とは異なる過酷な環境です。太陽フレアや銀河宇宙線など、地球上には存在しない非常に高いエネルギーを持った放射線が飛び交っています。これらの放射線は、人工衛星や探査機などに搭載される電子機器の動作に大きな影響を与える可能性があります。特に、現代の電子機器に広く使われている半導体素子は、この放射線の影響を受けやすいという特徴があります。高エネルギーの放射線粒子が半導体素子に衝突すると、素子内部の物質にエネルギーが与えられ、電気を帯びた粒子のペア(電子と正孔)が瞬間的に発生することがあります。この現象は電荷の乱れを引き起こし、本来の電気信号に影響を与えて誤動作を引き起こしたり、最悪の場合、素子の破壊につながることもあります。このような、一回の放射線粒子の衝突によって引き起こされる半導体素子の誤動作や故障を「シングルイベント効果」と呼びます。シングルイベント効果は、人工衛星や宇宙探査機の信頼性を大きく左右する問題であり、その発生メカニズムの解明や対策技術の開発が重要な課題となっています。
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宇宙から降り注ぐ二次宇宙線

宇宙空間を猛烈な速さで飛び交う高エネルギーの粒子、それが宇宙線です。太陽系外から地球に降り注ぐ宇宙線は、一次宇宙線と呼ばれ、そのほとんどは水素やヘリウムの原子核からできています。これらの粒子は一体どこで生まれ、どのようにして凄まじいエネルギーを得ているのでしょうか? 宇宙線の発生源として有力視されているのが、超新星爆発です。太陽よりもはるかに重い星がその一生を終える時、最後に起こす大爆発が超新星爆発です。この時、とてつもないエネルギーが解放され、その衝撃波によって水素やヘリウムの原子核が加速され、宇宙線として宇宙空間に飛び出していくと考えられています。 光速に近い速度で宇宙を旅する一次宇宙線は、やがて地球にも到達します。そして、地球の大気中の窒素や酸素などの原子核と衝突します。すると、さらに多くの粒子が生まれますが、これを二次宇宙線と呼びます。このようにして、様々な起源を持つ高エネルギー粒子が絶えず地球に降り注いでいるのです。
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宇宙から降り注ぐ二次宇宙線

私たちが住む地球は、広大な宇宙に浮かぶ青い惑星です。そして、その宇宙からは常に、目には見えない訪問者が絶えず降り注いでいます。それは、宇宙線と呼ばれる、とても小さな粒子のことです。 宇宙線には、太陽からやってくる太陽宇宙線と、もっと遠くの銀河系外からやってくる銀河宇宙線があります。太陽宇宙線は、太陽で起こる爆発現象などによって太陽から飛び出してくる粒子の流れです。一方、銀河宇宙線は、その起源や発生のメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、超新星爆発など、銀河系内で起こる非常に激しい現象によって加速された粒子だと考えられています。 これらの宇宙線が地球に到達すると、大気中の窒素や酸素の原子核と衝突します。すると、そこから新たに様々な粒子が生み出されます。これが二次宇宙線と呼ばれるものです。二次宇宙線は、地上に到達する宇宙線の量を増加させたり、大気中のオゾン層に影響を与えたりするなど、地球環境に様々な影響を与えていると考えられています。