宇宙から降り注ぐ元素の謎
地球は広大な宇宙に浮かぶ、水の惑星として知られていますが、実は絶えず宇宙から飛来する高エネルギーの粒子にもさらされています。これが宇宙線と呼ばれるもので、太陽表面での爆発現象や、恒星がその一生を終える際に起こす超新星爆発など、宇宙の様々な場所で発生する現象によって生み出されます。
宇宙線は、太陽系や銀河系を超えて地球にまで到達し、大気圏に突入してきます。すると、大気中に存在する窒素や酸素といったありふれた元素の原子核と衝突します。この衝突は非常に高いエネルギーで行われるため、原子核同士で核反応という反応が起こります。この核反応によって、元の原子核とは陽子の数や中性子の数が異なる、新しい原子核が生成されます。これが宇宙線起源核種と呼ばれるもので、自然界に存在する放射性同位元素の一部はこの過程で生まれます。
宇宙線起源核種には様々な種類が存在し、その生成量は宇宙線の強度や大気の状態、地磁気の影響などによって変化します。そのため、過去の宇宙環境や気候変動を解明する上で、宇宙線起源核種の量や分布は重要な手がかりとなります。