
放射線業務と安全管理:最大許容身体負荷量とは
放射線業務に従事する人にとって、放射線による被ばくは常に意識しなければならない問題です。放射線は目に見えず、臭いもないため、知らず知らずのうちに被ばくしてしまう可能性があります。
放射線による被ばくには、大きく分けて外部被ばくと内部被ばくの二つがあります。外部被ばくとは、体の外側にある放射線源から放射線を浴びることで起こります。原子炉や放射性物質を扱う装置の近くで作業する場合などがこれにあたります。一方、内部被ばくは、放射性物質が体内に取り込まれることで起こります。放射性物質を含む塵やガスを吸い込んだり、汚染された水や食物を摂取したりすることで、体内に放射性物質が入り込んでしまうことがあります。
体内に取り込まれた放射性物質は、その種類によって異なる体内動態を示します。例えば、ヨウ素131は甲状腺に集まりやすく、ストロンチウム90は骨に沈着しやすいといった特徴があります。また、放射性物質が体内に留まる時間の長さも、放射性物質の種類によって異なります。
体内に入った放射性物質は、その種類や量、蓄積する場所によって、健康に様々な影響を及ぼす可能性があります。短期間に大量の放射線を浴びた場合には、吐き気や嘔吐、倦怠感などの急性放射線症を引き起こすことがあります。また、長期間にわたって低線量の放射線を浴び続けることで、がんや白血病などの発症リスクが高まる可能性も指摘されています。
放射線業務に従事する人は、これらのリスクを十分に理解し、被ばくを最小限に抑えるための対策を講じる必要があります。具体的には、放射線源から距離を置く、遮蔽物を利用する、作業時間を短縮するなどの外部被ばく対策や、防護マスクや防護服の着用、手洗い・うがいの徹底などの内部被ばく対策があります。