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酸素と共に生きる:好気性細菌の世界

すべての生き物は、生命を維持し、活動するためにエネルギーを必要とします。私たち人間は、食物を摂取し、それを体内で分解することによってエネルギーを得ています。同様に、目に見えない小さな生物である細菌たちも、それぞれ独自のエネルギー獲得方法を持っています。その中でも、「好気性細菌」と呼ばれる種類の細菌は、私たち人間と同じように、酸素を利用してエネルギーを生み出すという興味深い特徴を持っています。 彼ら好気性細菌は、空気中や水中に溶け込んでいる酸素を取り込み、呼吸を行います。この呼吸の過程で、酸素は体内に取り込まれた栄養分と結びつき、エネルギーが作り出されます。そして、そのエネルギーを使って、細胞分裂による増殖や、栄養分の分解・合成、あるいは外部への移動など、様々な生命活動を行います。私たちが食事からエネルギーを得て、体を動かしたり、考えたりするのと同じように、好気性細菌もまた、酸素を利用した呼吸によって得られたエネルギーを使って生きているのです。 このように、酸素をエネルギー源とする生物は、私たち人間以外にも存在します。目に見えない小さな細菌たちも、私たちと同じように呼吸し、生命を維持しているというのは、とても興味深いことだと言えるでしょう。
放射線について

食品照射の指標となるD10値

近年、食品の安全性をより高めるための技術として、放射線を用いた方法が注目を集めています。食品に放射線を照射する、いわゆる放射線照射は、食品の衛生状態を向上させるための有効な手段として期待されています。 放射線は、物質を透過する力を持つエネルギーの高い波や粒子です。食品に放射線を照射すると、そのエネルギーが食品中の微生物、特に食中毒の原因となる細菌などのDNAに損傷を与えます。DNAは生物の設計図とも言える重要な物質であり、損傷を受けると、その修復が追いつかずに微生物は増殖できなくなったり、死滅したりします。 この放射線照射の効果は、D10値という指標で評価されます。D10値とは、特定の種類の微生物数を10分の1に減らすために必要な放射線の量を示すものです。D10値が小さいほど、少ない放射線量で効果が得られることを意味し、より効率的に微生物を減らすことができると言えます。 放射線照射は、従来の加熱処理などと比べて、食品の風味や栄養価への影響が少ないという利点もあります。そのため、将来的には、より安全な食品を提供するための技術として、放射線照射の利用がますます広がることが期待されています。