火力発電の立役者:排煙脱硫装置
私たちの生活に欠かせない電気を生み出す火力発電所は、その多くが石炭や重油といった化石燃料を燃焼させることでエネルギーを得ています。しかし、これらの燃料には硫黄という物質が含まれており、これが大気汚染の原因の一つとなっています。
化石燃料が燃える過程で、含まれていた硫黄は空気中の酸素と結びつき、硫黄酸化物と呼ばれる物質に変化します。硫黄酸化物は、大気中に出ると酸性雨の原因となる物質の一つです。酸性雨は、森林や湖沼、土壌などに深刻な影響を与えるだけでなく、建物や彫刻などを溶かしてしまうこともあります。
さらに、硫黄酸化物は私たちの健康にも悪影響を与えます。特に呼吸器系への影響が大きく、ぜん息などの呼吸器疾患を悪化させる可能性があります。また、目や鼻、喉などの粘膜を刺激し、痛みやかゆみを引き起こすこともあります。
火力発電所などから排出される硫黄酸化物を減らすためには、燃料中の硫黄分をあらかじめ取り除く方法や、排ガス中の硫黄酸化物を除去する装置を設置するなどの対策がとられています。