放射性壊変

原子力発電の基礎知識

エネルギーの鍵、Q値とは?

物質を構成する小さな粒の一つに、原子核と呼ばれるものがあります。原子核は、陽子と中性子という、さらに小さな粒子がぎゅっと集まってできています。 この原子核が分裂したり、逆に合体したりする現象を原子核反応と呼びます。原子核反応は、私たちの身の回りにある様々なエネルギー源に利用されています。 原子核反応が起こると、反応の前後で質量にわずかな差が生じます。このわずかな質量の差が、莫大なエネルギーに変換されるのです。これは、かの有名な物理学者アインシュタインが提唱した、E=mc²という式で表されます。 この式は、エネルギーと質量が密接に関係していることを示しています。つまり、ほんのわずかな質量であっても、莫大なエネルギーに変換できることを意味しているのです。原子力発電は、この原子核反応の原理を利用し、質量をエネルギーに変換することで、膨大な電力を生み出しています。
放射線について

放射性壊変:原子核の Verwandlung

- 放射性壊変とは物質を構成する小さな粒子である原子は、さらに小さな陽子、中性子、電子からできています。原子の中心には陽子と中性子からなる原子核があり、その周りを電子が雲のように取り囲んでいます。陽子の数は元素の種類を決定づける重要な要素ですが、原子核内の陽子と中性子の数の組み合わせによっては、不安定な状態になることがあります。このような不安定な原子核を持つ物質を放射性物質と呼びます。放射性物質は、不安定な状態からより安定な状態に移行するために、原子核からエネルギーを放出します。この現象を放射性壊変と呼びます。放射性壊変では、アルファ線、ベータ線、ガンマ線と呼ばれる目に見えない光のようなエネルギーが放出されます。アルファ線は陽子2個と中性子2個が結合したもので、ヘリウムの原子核と同じものです。ベータ線は電子と似た性質を持つ粒子で、高速で飛び出します。ガンマ線は非常に波長の短い電磁波で、物質を透過する力が強いです。放射性壊変は自然界で常に起こっている現象であり、宇宙線や地殻中から微量の放射線が常に放出されています。また、医療や工業など様々な分野で放射性物質が利用されています。
核燃料

ウラン系列:原子力のルーツを探る

- ウラン系列原子核が織りなす壮大な連鎖反応 ウラン系列とは、ウラン238という放射性元素が、長い年月をかけて安定した鉛206へと変化していくまでの壮大な物語です。まるで家系図のように、親であるウラン238から始まり、子、孫、ひ孫へと、放射性崩壊と呼ばれる現象によって次々と異なる原子核へと姿を変えていきます。 この過程で、原子核は大きく分けて二つの変身を遂げます。一つはα崩壊と呼ばれるもので、これは原子核がヘリウム原子核を放出することで、原子番号が2つ、質量数が4つ減少する変化です。もう一つはβ崩壊と呼ばれ、こちらは原子核の中から電子が放出されることで、原子番号が1つ増加する変化です。ウラン系列では、α崩壊が8回、β崩壊が6回起こり、最終的に安定した鉛206へとたどり着くのです。 このように、ウラン系列は、原子核が不安定な状態から安定な状態へと変化していく過程を示すものであり、その変化は、まるで家が地震や台風によって少しずつ姿を変えていくように、長い年月をかけてゆっくりと進んでいきます。そして、ウラン238から鉛206にたどり着くまでにかかる時間は、なんと約45億年にも及びます。これは地球の年齢にも匹敵する、気の遠くなるような時間スケールです。