見えないものを見る技術:トモグラフィ
私たちは健康診断や怪我をした際に、病院でレントゲン写真を撮ってもらった経験があるのではないでしょうか。レントゲン写真では、骨などの硬い組織が白く映し出され、体の内部の状態をある程度把握することができます。
しかし、レントゲン写真は平面的な画像であるため、奥行きや立体的な構造を把握することが難しいという側面があります。例えば、骨折した場合、骨のどの部分がどのように折れているのか、正確な位置や角度を把握することは容易ではありません。また、体内に腫瘍がある場合でも、その大きさや形、周りの組織との位置関係などを詳しく知ることは困難です。
そこで登場するのが、トモグラフィと呼ばれる技術です。トモグラフィは、身体の周りを回転しながらX線撮影を行い、得られた多数の画像データをコンピューターで処理することで、体の断面図を映し出すことができます。この技術により、従来のレントゲン写真では難しかった、臓器や骨格の立体的な構造、位置関係を詳細に把握することが可能となりました。そのため、骨折の診断や腫瘍の診断、治療方針の決定などに大きく貢献しています。