国際協力による平和構築:国際科学技術センターの役割
- 国際科学技術センターとは国際科学技術センター(ISTC)は、旧ソ連の科学者や技術者が培ってきた高度な知識や技術を、世界の平和と発展のために役立てられるよう支援するために設立された国際機関です。1991年のソビエト連邦の崩壊後、それまで核兵器開発などに関わっていた優秀な科学者や技術者が、経済の混乱や雇用の喪失によって、国外へ流出してしまうことが懸念されました。もし、彼らの持つ高度な技術や知識が悪意のある国や組織に渡ってしまうと、大量破壊兵器の拡散やテロリズムへの利用など、世界全体の安全保障にとって大きな脅威となる可能性がありました。こうした事態を防ぐため、日本、アメリカ、EU諸国、そしてロシアが協力し、1994年にモスクワに国際科学技術センター(ISTC)が設立されました。ISTCは、旧ソ連諸国の科学者や技術者に対して、彼らが持つ知識や技術を、核兵器開発などの軍事目的ではなく、民生分野の研究開発や国際的な科学技術協力に活かせるよう、資金援助や技術的な支援、そして新たな雇用機会の提供などを行っています。具体的には、ISTCは、環境保護、エネルギー開発、医療技術、情報通信など、様々な分野において、国際共同研究プロジェクトを立ち上げ、旧ソ連諸国の科学者や技術者を雇用することで、彼らの失業を防ぎつつ、その優れた能力を平和的な目的のために活用しています。