晩発性影響

原子力の安全

原子力と慢性リンパ性甲状腺炎

原子力発電所などで事故が起こると、私たちが大量の放射線を浴びてしまうことがあります。その結果、私たちの健康に様々な悪影響が生じることが知られていますが、これらの影響には、被曝してから数年から数十年経ってから現れるものがあります。こうした影響を晩発性影響と呼び、慢性リンパ性甲状腺炎はその代表的な病気の一つです。 慢性リンパ性甲状腺炎は、放射線被曝から数年経ってから、甲状腺に炎症が起こる病気です。放射線は細胞の遺伝子を傷つけるため、被曝した人の細胞では、長い年月を経て遺伝子の傷が蓄積していくことがあります。その結果、細胞の働きが変化し、本来起こるはずのない異常な細胞増殖を引き起こし、がんや慢性リンパ性甲状腺炎などの病気を発症すると考えられています。 晩発性影響は、被曝から時間が経ってから症状が現れるため、放射線の影響と気づかずに治療が遅れてしまうことがあります。また、放射線の影響は、生涯にわたって続く可能性があります。そのため、放射線被曝の影響を理解し、健康診断などを定期的に受けるなど、自身の健康に注意を払うことが重要です。
放射線について

放射線と白血病:知っておきたいリスクと対策

- 血液の病気、白血病とは?人間の体内を流れる血液には、酸素を運ぶ赤血球、細菌などから体を守る白血球、出血を止める血小板など、それぞれ重要な役割を持つ細胞が存在します。これらの血液細胞は、骨の内部にある骨髄という組織で作られています。白血病は、この血液を作る工場である骨髄で異常が起こり、正常な血液細胞が作られなくなる病気です。白血病では、正常な血液細胞が十分に作られなくなるため、貧血になりやすく、顔色が悪くなったり、疲れやすくなったりします。また、細菌やウイルスから体を守る白血球が減ってしまうため、肺炎などの感染症にかかりやすくなります。さらに、出血を止める血小板が減ることで、鼻血や歯茎からの出血が止まりにくくなったり、あざができやすくなったりします。白血病は、大きく二つに分けられます。一つは、発症から症状が現れるまでの期間が短い「急性白血病」で、もう一つは、ゆっくりと進行し、症状も比較的軽い「慢性白血病」です。さらに、異常が起こる細胞の種類によって、「骨髄性白血病」と「リンパ性白血病」に分けられます。白血病の治療法は、種類や進行度などによって異なりますが、主な治療法としては、抗がん剤による化学療法、骨髄移植、放射線療法などがあります。近年では、新しい薬や治療法の開発も進められており、治療の選択肢は広がっています。