
原子力発電の安全性:DNBと限界熱流束
原子力発電所では、原子核が分裂する際に生じる莫大なエネルギーを利用して電気を作っています。このエネルギーは熱に変換され、原子炉の中にある水を沸騰させることで蒸気を発生させます。この蒸気がタービンを回し、発電機を動かすことで電気が生まれます。
原子炉で発生した熱を効率よく水に伝えるためには、水の沸騰現象をうまくコントロールする必要があります。沸騰は、水から蒸気に変化する際に大量の熱を奪うため、熱を効率的に運ぶことができる現象です。しかし、ある一定以上の高温になると、水の沸騰の様子が変わってしまい、熱の伝わり方が悪くなってしまうことが知られています。
これは、高温の水と蒸気の間に薄い膜のような層ができてしまい、熱が伝わりにくくなるためです。このような状態を「限界熱流束」を超えた状態と呼び、原子炉の安全性を考える上で非常に重要な現象です。原子炉の設計や運転には、このような沸騰現象を適切に制御し、常に安全な範囲で運転できるように様々な工夫が凝らされています。