核特性

原子力発電の基礎知識

原子炉の心臓部:中性子束を読み解く

原子炉は、ウランなどの核分裂しやすい物質が中性子を吸収することで核分裂を起こし、莫大なエネルギーを放出する仕組みを利用しています。この核分裂反応を維持し、制御するために重要な役割を果たすのが「中性子」です。 中性子は電気を帯びていない粒子であり、原子核と衝突しやすい性質を持っています。原子核に中性子が衝突すると、核分裂が起こり、さらに多くの中性子が放出されます。この現象が連鎖的に起こることで、莫大なエネルギーが生み出されるのです。 原子炉では、この核分裂反応の速度を制御することが非常に重要です。もし、核分裂反応が制御不能になると、原子炉内の温度が急上昇し、炉心溶融などの深刻な事故につながる可能性があります。 そこで、原子炉には中性子の速度を調整したり、吸収したりする装置が備えられています。中性子の速度を調整することで、核分裂反応の効率を制御することができます。また、中性子を吸収することで、核分裂反応を抑制し、原子炉を安全に停止させることができます。 このように、中性子は原子炉において、エネルギーを生み出すと同時に、その反応を制御するという重要な役割を担っています。原子力の平和利用を進めるためには、中性子の性質を深く理解し、原子炉の安全性を高めることが不可欠です。