植物

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植物の成長を操る不思議な力:重力屈性

植物は、動物のように自らの力で移動することはできません。しかし、周囲の環境変化を感じ取り、その変化に応じて柔軟に成長方向を変えることで、より良い環境で生育しようとします。例えば、窓辺に置かれた鉢植えを観察してみてください。鉢植えの植物は、太陽の光を求めるように茎や葉を窓の外に向かって伸ばしているはずです。このように、植物が光や重力などの外部からの刺激に反応して、成長方向を変化させる性質を「屈性」と呼びます。 屈性には、大きく分けて二つの種類があります。一つは、刺激となるものの方向に向かって成長する「正の屈性」です。先ほどの例では、植物は光の方向へ成長しているので、これは「正の光屈性」と呼びます。もう一つは、刺激となるものの方向とは反対に、遠ざかるように成長する「負の屈性」です。植物の根は、重力の方向に伸びていく「正の重力屈性」を示しますが、同時に光とは反対方向に伸びていく「負の光屈性」も示します。これらの屈性によって、植物は土壌から水や栄養分を効率的に吸収し、太陽の光を最大限に浴びて、効率的に光合成を行うことができるのです。
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生き物のつながり:寄主植物

自然界は、多種多様な生き物が複雑な繋がりを持って織りなす、壮大な tapestry のようです。その中で、生き物同士の関係は、食う-食われるという単純なものから、共存共栄、あるいは片方だけが利益を得る関係まで、実に様々です。 その中でも特に興味深いのが、「寄生」という関係です。寄生とは、ある生き物が、別の生き物の体表や体内に住み着き、栄養を一方的に奪い取って生きていくことです。この時、栄養を奪われる側の生き物を「宿主」、奪う側の生き物を「寄生生物」と呼びます。 寄生というと、動物同士の関係をイメージするかもしれません。例えば、犬や猫に寄生するノミやダニ、人間の腸に住み着く回虫などがその例です。しかし、実は植物の世界でも、寄生は広く見られる現象です。寄生する植物は、他の植物に根を絡みつかせたり、組織の中に侵入したりして、水や栄養分を横取りします。 このような植物を「寄生植物」と呼び、寄生される側の植物は、動物の場合と同じく「寄主植物」と呼ばれます。寄生植物の中には、光合成を行う能力が全くなく、完全に寄主植物から栄養を奪って生きているものもいます。まるで、他の植物に完全に依存して生きる、植物界の「吸血鬼」のようです。 このように、寄生という関係は、一見残酷なように思えますが、長い進化の歴史の中で、寄生生物と宿主は、互いの存在を許容し、利用さえしながら、複雑な共存関係を築き上げてきたのです。自然界の巧妙なバランスと、生き物同士の不思議な繋がりの奥深さを、改めて感じさせられます。
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原子力発電と植物:気孔抵抗の役割

私たち人間を含め、動物は口や鼻を使って呼吸をしています。では、植物はどうやって呼吸をしているのでしょうか? 実は、植物の葉の裏側には、「気孔」と呼ばれる小さな穴が無数に開いています。この気孔こそ、植物が呼吸をするための大切な器官なのです。 気孔は、植物が生きていくために欠かせない二酸化炭素と酸素の交換を行っています。太陽の光が燦々と降り注ぐ日中には、気孔は大きく開いています。これは、光合成に必要な二酸化炭素をより多く取り込むためです。そして、光合成によって作られた酸素は、気孔を通して外に排出されます。まるで、私たちが呼吸をするように、植物も気孔を使って呼吸をしているのです。 一方、夜になると気孔は閉じてしまいます。これは、貴重な水分が夜露などによって失われるのを防ぐためです。植物は、気孔を開いたり閉じたりすることで、水分の量を調節しながら、効率よく呼吸を行っているのです。このように、小さく目立たない気孔ですが、植物が生きていく上で非常に重要な役割を担っています。
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光合成を担う細胞小器官:葉緑体

- 光合成の場 植物が緑色に見えるのは、細胞の中に葉緑体という小さな器官を持っているからです。葉緑体は、まるで太陽光発電所のように、太陽の光エネルギーを使って水と二酸化炭素から栄養分を作り出す、光合成を行う場所です。 葉緑体は二重の膜で包まれており、その内部には、光エネルギーを吸収するのに適した構造が広がっています。緑色の色素であるクロロフィルを含む扁平な袋状のチラコイドと、それを取り囲むストロマと呼ばれる空間からなります。 チラコイド膜には、クロロフィル以外にも様々な光合成色素が存在し、太陽光を効率よく吸収します。吸収された光エネルギーは、水分子を分解して酸素を発生させると同時に、化学エネルギーに変換されます。 一方、ストロマでは、二酸化炭素と、光エネルギーによって作られた化学エネルギーを用いて、デンプンなどの糖が合成されます。 こうして作られた糖は、植物の体を作り、生命活動のエネルギー源として利用されます。 葉緑体で行われる光合成は、地球上のほとんどの生物にとって、なくてはならないものです。私たちが呼吸する酸素は、光合成によって供給されています。また、光合成によって作られた有機物は、食物連鎖を通じて、動物を含む様々な生物の栄養源となっています。