水処理

その他

中空糸膜フィルター:その仕組みと利点

現代社会において、工場や事業所から排出される廃水を適切に処理することは、環境保全のために非常に重要です。廃水には、さまざまな物質が含まれており、環境に悪影響を及ぼす可能性があるからです。 そうした中で、近年注目されているのが、中空糸膜フィルターを用いたろ過技術です。これは、ストロー状の非常に細い膜である中空糸膜を多数束ねたモジュールを使用することで、水をきれいにする技術です。 中空糸膜フィルターは、従来のろ過方法に比べて効率が高く、多くの水を短時間で処理することができます。また、中空糸膜自体が非常に薄く、コンパクトにまとめることができるため、設置スペースが少なくて済むという利点もあります。さらに、中空糸膜フィルターは、水に溶けている不純物だけでなく、細菌やウイルスなどの微生物も除去することができるため、より高度な水処理にも適しています。 これらの利点から、中空糸膜フィルターは、工場や事業所における廃水処理だけでなく、飲料水の製造や海水淡水化など、幅広い分野での利用が期待されています。
原子力の安全

原子力発電:フィルタスラッジとは

様々な産業分野では、液体の中から不要な物質を取り除くために、ろ過という操作が行われています。原子力発電所も例外ではなく、ろ過は欠かせない作業の一つです。このろ過を行う過程で、必ず発生してしまうのがフィルタスラッジと呼ばれるものです。 ろ過とは、フィルターを使って液体の中から目的以外の物質を分離する操作です。フィルターには様々な種類がありますが、いずれも、液体を通し、不要な物質を捕らえる役割を担っています。この時、フィルター上に捕集された物質こそがフィルタスラッジです。 フィルタスラッジは、元々の液体に含まれていた物質の種類や、ろ過の目的などによって、その性質は大きく異なります。例えば、工場排水から発生するフィルタスラッジには、重金属などの有害物質が含まれている可能性があります。一方、食品工場で使用されたろ過フィルターからは、食品残渣を含むスラッジが発生するでしょう。このように、フィルタスラッジは発生源や処理方法によって、資源になる場合もあれば、適切な処理が必要となる場合もあります。
原子力の安全

原子力発電の減肉現象とは

- 減肉現象の概要原子力発電所の中心的な設備である原子炉。その原子炉で発生させた熱を利用して蒸気を作り出す重要な装置が蒸気発生器です。この蒸気発生器には、熱の受け渡しを行うために多数の伝熱管が設置されています。減肉現象とは、この伝熱管の肉厚が薄くなってしまう現象を指します。伝熱管は、高温高圧の水や蒸気が流れる厳しい環境下に置かれているため、経年劣化は避けられません。しかし、減肉現象は通常の経年劣化とは異なり、腐食や摩耗などによって想定以上の速度で肉厚が減少していく点が特徴です。減肉現象が進行すると、伝熱管の強度が低下し、最悪の場合には破損に至る可能性があります。もし伝熱管が破損すると、放射性物質を含む水が蒸気発生器外部に漏えいする可能性も出てきます。このような事態を避けるため、減肉現象は原子力発電所の安全性に影響を与える可能性があると考えられています。そのため、原子力発電所では、減肉現象の発生を抑制するための対策や、早期発見のための検査技術の開発など、様々な取り組みが行われています。
原子力施設

原子力発電所の縁の下の力持ち:液体廃棄物処理系

原子力発電所は、電気を作る過程で様々な廃棄物を生み出します。その中には、気体、固体、液体など様々な形状のものがあります。中でも、液体廃棄物は環境や人体への影響が大きいため、特に注意深く管理し、適切に処理する必要があります。 液体廃棄物には、原子炉の冷却に使用した水や、機器の洗浄に使用した水などが含まれます。これらの水には、放射性物質が含まれている可能性があるため、そのまま環境中に放出することはできません。 原子力発電所では、液体廃棄物を安全に処理するために、様々な処理設備を備えています。例えば、液体廃棄物中の放射性物質を取り除く浄化装置や、蒸発させて体積を減らす濃縮装置などがあります。 処理された液体廃棄物は、国の基準を満たしていることを確認した後、環境中に放出されます。また、放射性物質の濃度が高い液体廃棄物は、固形化処理を行い、ドラム缶などに詰めて厳重に管理されます。 このように、原子力発電所における液体廃棄物処理は、環境保護と発電所の安全運転のために極めて重要な役割を担っています。安全性を最優先に、液体廃棄物の適切な処理を行うことが、原子力発電所の重要な責任と言えます。
原子力施設

原子力発電の立役者:イオン交換樹脂

- イオン交換樹脂とは? イオン交換樹脂とは、水に溶けている物質の中から、特定の種類のイオンだけを取り出して、代わりに別のイオンを放出するという、不思議な力を持った物質です。 例えるなら、お店で買い物をする時、お金を渡して商品を交換してもらうように、イオン交換樹脂は特定のイオンとだけ交換できる、物質レベルの「交換屋さん」のようなものと言えるでしょう。 顕微鏡で拡大して見てみると、イオン交換樹脂は網目状の構造を持つ、とても小さな粒でできています。この網目に、イオンを出し入れできる特別な場所「交換基」がたくさんくっついており、この交換基の種類によって、どんなイオンと交換したいのかを決めることができます。 例えば、プラスの電気を帯びたイオンと交換したい場合は「陽イオン交換樹脂」を、マイナスの電気を帯びたイオンと交換したい場合は「陰イオン交換樹脂」を使います。 このように、イオン交換樹脂は、まるでイオンを選り分ける「ふるい」のように、水溶液中の特定のイオンだけを操作できるので、様々な分野で活用されています。
発電方法

海水淡水化が拓く、エネルギーと水の未来

世界中で水不足が深刻化する中、海水から真水を取り出す技術が注目を集めています。この技術は「海水淡水化」と呼ばれ、文字通り海水から塩分やミネラルを取り除き、私達が普段使う水に変える技術です。 海水淡水化で作った水は、飲料水としてはもちろん、農業用水としても利用できます。 特に、雨が少なく、川や湖などの水が少ない地域では、この技術が生活用水や工場用水などを安定して供給するために不可欠なものとなっています。 海水淡水化は、水不足の解決に大きく貢献できる可能性を秘めています。しかし、海水から真水を作るためには多くのエネルギーが必要であるため、コストがかかるという課題もあります。 この課題を解決するために、太陽光発電などの再生可能エネルギーを利用した海水淡水化の研究開発が進められています。 海水淡水化技術は、世界の水不足問題を解決する切り札として、更なる発展が期待されています。