凝集系核科学:未来のエネルギーを探る
- 凝集系核科学とは物質は原子や分子が集まって構成されており、その集まり方によって気体・液体・固体の状態に変化します。 凝集系核科学とは、このうち固体や液体のように物質が密に集まった状態、すなわち凝集状態における原子核反応を研究する新しい学問分野です。 従来の核物理学では、原子核反応は主に真空中やプラズマのように原子がまばらに存在する環境で起こると考えられてきました。しかし近年、物質が凝集した状態では原子核同士の距離が非常に近くなるため、従来とは異なるメカニズムで原子核反応が起こる可能性が示唆され始めました。特に、水素を非常に多く吸収する性質を持つ金属(水素吸蔵金属)に注目が集まっています。 水素吸蔵金属には、パラジウムやチタンなどが挙げられます。これらの金属に大量の水素を吸蔵させると、金属内部で水素の原子核同士が極めて近距離で接触し、低いエネルギー状態でも核反応が起こる可能性があると考えられています。凝集系核科学は、新しいエネルギー源の開発や、元素合成の謎の解明など、様々な分野への応用が期待される最先端の研究分野です。