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江戸時代の時間感覚:不定時法

- 不定時法とは不定時法とは、江戸時代の人々が用いていた時間の考え方です。現代のように時計やカレンダーが普及していない時代、人々は日の出や日の入り、太陽の高さといった自然現象の変化を基準に一日を過ごしていました。日の出とともに目を覚まし、日の入りとともに一日が終わる生活は、自然と密接に関わっていました。農作業や漁業など、多くの仕事が自然のリズムと調和していたため、時間そのものに対する感覚も現代とは異なっていたと考えられます。例えば、一日の長さは季節によって変化します。夏は日が長く、冬は日が短いため、自然と活動時間も変化しました。現代のように一時間を60分と厳密に区切るのではなく、日の出から日の入りまでを6等分したり、12等分したりするなど、時間に対する考え方は柔軟でした。また、時刻の表現も現代とは大きく異なり、「明け六つ(あけむつ)」「昼九つ(ひるここのつ)」といった独特の言い回しを用いていました。これは、鐘の音を合図に時間を把握していたことに由来します。不定時法は、自然と寄り添いながら生活していた、当時の日本人の知恵が生み出した時間制度と言えるでしょう。