細胞の中の万能空間:液胞
- 液胞ってなに?
生き物の体は、小さな細胞が集まってできています。顕微鏡で細胞を観察すると、核やミトコンドリアなど、さまざまな構造が見つかりますが、その中に、水で満たされた袋のようなものを見つけることができます。これが「液胞」です。
液胞は、まるで細胞内の小さなプールのように、周囲の原形質(細胞の中身全体を指す言葉)とは、薄い膜で仕切られています。この袋の中身は水溶液で、栄養分や老廃物などが溶け込んでいます。
動物細胞の場合、液胞は小さく、数も少ない傾向があります。一時的に不要なものを貯蔵しておく、いわば「ゴミ袋」のような役割を担うことが多いようです。このような小さな液胞は、「空砲」と呼ばれることもあります。
一方、植物細胞では、液胞は非常に大きく発達しており、細胞の大部分を占めていることもあります。植物細胞にとって、液胞は、細胞の形を保つための重要な役割を担っています。また、光合成に必要な水分を貯蔵したり、花の色素を含んで花を鮮やかに彩ったりするなど、植物の生命活動において重要な役割を担っています。