
被曝線量分布に見る混成対数正規分布
原子力発電所や病院の放射線治療室など、放射線を扱う職場では、そこで働く人々が業務中に一定量の放射線を浴びる可能性があります。これを職業被曝と呼びますが、その被曝量は一人一人全く同じではなく、ばらつきがあることが知られています。
この被曝量のばらつきを表現し、分析するために確率分布という考え方が用いられます。 例えば、一年間の職業被曝線量のデータを集め、そのばらつきのパターンを調べると、特定の確率分布に従っていることが分かります。
よく用いられる確率分布の一つに「対数正規分布」というものがあります。これは、被曝量が非常に低い人が少数いる一方で、平均値に近い被曝量の人が最も多く、被曝量が高い人ほど人数が少なくなっていく、というようなばらつき方を示します。
このような確率分布を用いることで、私たちは被曝量のばらつきをより具体的に把握することができます。 例えば、ある一定以上の被曝量を受ける人の割合を推定したり、被曝量の平均値や最大値を予測したりすることが可能になります。 これらの情報は、放射線作業における安全対策を強化し、働く人々の健康を守る上で非常に重要です。