
原子核を繋ぐ力、パイ中間子
私たちが目にするあらゆる物質は、原子と呼ばれる非常に小さな粒子からできています。原子はさらに小さな陽子、中性子、電子から構成されています。中心にある原子核は陽子と中性子から成り、その周りを電子が雲のように飛び回っています。
陽子はプラスの電荷、電子はマイナスの電荷を持っていますが、中性子は電荷を持ちません。では、ここで一つの疑問が生まれます。プラスの電荷を持つ陽子同士は反発し合うはずなのに、なぜ原子核はバラバラにならずに存在できるのでしょうか?
実は、原子核内には電磁気的な反発力よりも強い、「強い力」が働いています。この力は非常に近距離でのみ作用し、陽子と陽子、陽子と中性子、中性子と中性子を強く結び付けています。この強い力のおかげで、陽子同士の反発力に打ち勝ち、原子核は安定して存在することができるのです。
しかし、原子核によっては不安定なものも存在します。これらの原子核は放射線を出しながら崩壊し、より安定な原子核へと変化していきます。この現象を放射性崩壊と呼びます。放射性崩壊は原子力発電など、様々な分野で利用されています。