
RBMK炉:旧ソ連の独自技術
- RBMK炉とは
RBMK炉とは、「Reaktory Bolshoi Moshchnosti Kanalynye」のロシア語の頭文字をとった略称で、日本語では「黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉」という長い名前で呼ばれています。これは、旧ソ連が独自に開発した原子炉の形式で、西側諸国では英語の頭文字をとってLWGR(Light Water-cooled Graphite-moderated Reactor軽水冷却黒鉛減速炉)とも呼ばれています。
この原子炉の特徴は、燃料に濃縮度の低いウラン酸化物を使い、減速材に黒鉛、冷却材に軽水を用いている点です。原子炉の心臓部である炉心には、多数の圧力管が縦に設置されています。それぞれの圧力管の中に燃料集合体が挿入され、その中を冷却水が下から上に流れながら沸騰し、燃料から熱を奪い出す構造になっています。
RBMK炉は、当時のソ連が掲げていた「核兵器と発電の両立」という目標のもと、プルトニウム生産も可能な原子炉として開発されました。ウラン資源が豊富で、技術力の面でも制約の多かったソ連にとって、RBMK炉は当時の技術で実現可能な、数少ない選択肢だったと言えるでしょう。
しかし、RBMK炉は、その設計上の特性から、安全性の面でいくつかの欠陥を指摘されていました。実際に、1986年に旧ソ連(現ウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所で起きた大事故は、RBMK炉の持つ構造的な問題点が露呈した結果と言われています。