
原子炉の守り神:熱遮へいの役割
原子炉は、ウランなどの核分裂反応を利用して莫大なエネルギーを生み出す施設です。この核分裂反応に伴い、中性子線やガンマ線といった人体に有害な放射線が放出されます。これらの放射線から人体や周辺環境を守るためには、適切な遮蔽が必要不可欠です。 原子炉の炉心周囲には、ガンマ線を遮蔽するために厚いコンクリート製の壁が設置されています。コンクリートは比較的安価で強度が高く、ガンマ線を遮蔽する能力にも優れています。しかし、コンクリートは熱に弱いため、高温にさらされるとひび割れや破損が生じ、遮蔽性能が低下する恐れがあります。
そこで、コンクリートを熱から守るために重要な役割を担うのが「熱遮蔽」です。熱遮蔽は、炉心から発生する高温の熱を吸収・反射することで、コンクリートの温度上昇を抑えます。熱遮蔽には、主にステンレス鋼などの金属材料が用いられます。 熱遮蔽によってコンクリートの温度を適切に保つことで、原子炉を安全かつ安定的に運転することが可能となります。 熱遮蔽は、原子炉の安全性を確保するための重要な要素の一つと言えるでしょう。