燃焼

原子力発電の基礎知識

原子炉の心臓部:核特性とその重要性

- 原子炉の核特性とは原子炉の核特性とは、原子炉内で起こる核分裂反応において、中性子がどのように振る舞い、反応の連鎖に影響を与えるかを示す重要な指標です。原子炉は、ウランなどの核燃料物質が核分裂反応を起こすことで熱エネルギーを生み出す装置ですが、この反応の連鎖を制御しているのが中性子です。中性子は、原子核を構成する粒子の一つで、電荷を持たないため、他の原子核と容易に衝突することができます。ウランなどの重い原子核に中性子が衝突すると、原子核は分裂し、エネルギーと同時に複数の中性子を放出します。この新たに放出された中性子が、さらに他の原子核と衝突して核分裂反応を引き起こすことで、連鎖的に反応が継続されます。原子炉の核特性は、この中性子の発生と吸収のバランス、そして中性子の速度(エネルギー)分布などによって決まります。原子炉の設計段階では、核特性を正確に評価し、中性子の連鎖反応を安全に制御できるよう、燃料の種類や配置、減速材や制御棒の設計などが綿密に行われます。原子炉の運転中も、核特性は常に監視され、中性子の状態を把握することで反応度が制御されます。核特性は、原子炉の出力調整や安全な運転、さらには燃料の燃焼度合いの把握など、原子力発電所の運用において非常に重要な役割を担っています。
原子力発電の基礎知識

原子炉の心臓を覗く:炉物理の世界

原子力発電所で電気を作り出す心臓部には、原子炉と呼ばれる巨大な装置があります。この原子炉の設計は、非常に高度な技術と知識が必要とされますが、その中でも特に重要な役割を担うのが「炉物理」という学問分野です。 炉物理は、原子炉の心臓部である炉心における中性子の動きを解き明かす学問です。原子核分裂反応を引き起こすために不可欠な中性子は、ウランなどの核燃料に吸収されたり、炉心から飛び出してしまったりと、複雑な動きをします。炉物理は、この中性子の動きを正確に計算し、予測することを目的としています。 原子炉を安全かつ安定的に運転するためには、中性子の数が適切に保たれている必要があります。中性子の数が多すぎると核分裂反応が過剰に起こり、原子炉の温度が制御不能になる可能性があります。逆に、少なすぎると核分裂反応が持続せず、原子炉は停止してしまいます。炉物理は、原子炉内のあらゆる場所における中性子の数を把握し、制御するための指針を提供することで、原子炉の安全設計、運転、そして効率的なエネルギー生産に大きく貢献しています。
発電方法

火力発電の仕組みとメリット・デメリット

- 火力発電とは 火力発電は、石油、石炭、天然ガスといった燃料を燃やし、その熱エネルギーを使って電気を作る発電方法です。私たちの暮らしに欠かせない電気ですが、その大部分は火力発電によって作られています。 火力発電所では、まず燃料を燃焼させ、水を沸騰させて高温・高圧の水蒸気を発生させます。この高温・高圧の水蒸気が持つ大きな力を使ってタービンと呼ばれる羽根車を回し、その回転運動によって発電機を動かして電気を作ります。火力発電は、燃料の種類や発電所の規模によって、様々な種類があります。 火力発電は、必要な時に必要なだけ電力を供給できるというメリットがあり、私たちの生活を支える重要な発電方法となっています。しかし、一方で、燃料を燃やす際に二酸化炭素などの温室効果ガスが発生するという課題も抱えています。