環境放出

原子力の安全

原子力発電と放射性気体廃棄物

- 放射性気体廃棄物とは原子力発電所をはじめとする原子力施設では、その運転や点検、補修作業、放射性物質の取り扱いなど、様々な過程で放射性廃棄物が発生します。これらの廃棄物は、固体、液体、気体の状態に分類され、それぞれに適切な処理と処分が行われます。その中でも、気体の状態で発生するものを放射性気体廃棄物と呼びます。放射性気体廃棄物は、大きく分けて二つの発生源に分けられます。一つは、原子炉の炉心内で核燃料が核分裂する際に発生する核分裂生成ガスです。ウランやプルトニウムなどの核燃料が中性子を吸収して核分裂を起こすと、エネルギーとともに様々な元素が生成されます。この時、生成される元素の中には、クリプトンやキセノンなどの希ガス元素も含まれており、これらが気体状の放射性物質となって放射線を放出します。もう一つは、原子力施設における作業工程で発生するガス状の放射性物質です。例えば、原子炉の冷却水や使用済み燃料の再処理過程などでは、トリチウムやヨウ素などの放射性物質が微量ながら気体となって発生することがあります。これらの放射性気体廃棄物は、大気中に放出される前に、適切な処理を行い、環境への影響を可能な限り低減することが求められます。具体的には、フィルターによる放射性物質の除去や、活性炭による吸着、減衰タンクでの貯蔵など、様々な方法を組み合わせて放射能のレベルを下げる処理が行われます。そして、最終的には法令に基づいた基準を満たすまで浄化された上で、環境中に放出されます。