染色体異常と放射線の関係
私たち人間の体は、約37兆個もの細胞が集まってできています。それぞれの細胞の核の中には、遺伝情報がぎゅっと詰まった染色体というものが存在します。この染色体は、両親から受け継いだ大切な情報が詰まった設計図のようなものと言えるでしょう。
通常、染色体は2本ずつ対になっており、私たちは両親からそれぞれ1本ずつ受け継ぎます。しかし、細胞分裂の際に何らかのエラーが起きると、染色体の数が多かったり少なかったり、一部が欠けていたり、他の染色体の一部がくっついてしまったりすることがあります。これが染色体異常と呼ばれるものです。
染色体異常は、自然に発生することもありますが、放射線や特定の薬品、高温などにさらされることで発生リスクが高まることがわかっています。これらの要因は、染色体の構造を傷つけ、遺伝情報に変化を引き起こしてしまう可能性があるからです。
染色体異常は、ダウン症候群など、様々な先天的な疾患の原因となることがあります。しかし、染色体異常に伴う症状やその程度は人によって大きく異なり、場合によっては症状が現れないこともあります。近年では、出生前診断などによって妊娠中に染色体異常を調べる技術も進歩しており、早期発見と適切な対応が可能になりつつあります。