直線加速器: 粒子を加速させる技術
直線加速器とは
直線加速器とは、読んで字のごとく、電子やイオンといった電気を帯びた粒子をまっすぐな経路に沿って加速し、高エネルギー状態にする装置です。「リニアック」という別名でも知られています。
その仕組みは、電場を用いて荷電粒子を加速するという、一見単純なものです。しかし、粒子を光の速度に近い速度まで加速し、原子核物理学や素粒子物理学といった分野で利用できるレベルの高いエネルギーを達成するには、高度な技術と複雑な構造が必要となります。
直線加速器の基本的な構造は、ドリフトチューブと呼ばれる円筒形の電極が、一定の間隔で配置されたものです。荷電粒子は、これらのドリフトチューブの間を通り抜けながら、高周波の電場によって加速されます。ドリフトチューブの長さは、粒子の速度に合わせて精密に調整されており、これにより粒子は常に加速電場を受け続けることができます。
直線加速器は、医療分野では、がん治療に用いられる放射線治療などに利用されています。また、物質の構造や性質を調べる研究や、新材料の開発など、様々な分野で活躍しています。